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ニュース〜医療の今がわかる

「交替勤務できる周産期センター体制を」―医師確保・労働のバランスは

■労基法守れる医師体制を

[岡井会長]
二次提言にあるNICUの診療報酬の引き上げに関しては、日本周産期・新生児医学会から正式に要望書を提出していた。国の方も当然しっかり考えてもらえるということでお返事を頂いているので、実現していけばと思う。後は、国の方の中医協にいかに働きかけるかということになると思う。
また、3次提言に戻り、医師の確保、それから女性医師の勤務環境。これは私たちがずっと昔から声を大きくして言ってきているところであり、少しずつでも改善していけるよう努力したいと思う。
 
会場様子.jpg[杉本充弘委員(日本赤十字社医療センター産科部長)]
医師の確保に関しては、特に公的病院の産科医・新生児科医が足りないということ。「医師が足りない足りない」と言う中の、一番中心であるということをもう一度認識していただく事が第一点目。そのためには、若い先生が入る魅力ある環境も必要だが、現在働いている医師のいわゆる「立ち去り」が起きないよう、勤務環境を整えることが必要。どういうことかというと、一つは労基署などからのご助言もあるのだが、交替勤務ができるような周産期センターの形を取っていかないといけない段階に入った。日赤も、労基署のご助言があったが、これを機会に、この6月から変則2交替という、夜勤3人体制という形を取る。各周産期センターがこういう形をとれるよう、今後の方向性を考えていってほしい。公的病院の産科医や新生児科医に対する、病院自体の補助金や手当ということ以外に、個人的な労働に対する報酬という面でも、地域の医療を支える、救急医療もそうだが、そういう立場への手当ても考えてほしい。
 
[桑江千鶴子委員(都立府中病院産婦人科部長)]
医師の確保について、杉本先生からもご提案頂いたが、実際問題として、たとえばオンコールに関する体制がある。わたしたちは、通常一人で夜勤をしていて、救急手術が必要になったら誰かを呼び出すという体制をしているが、オンコールに関しては、県立奈良病院の裁判があるが、オンコールは労働とは認められなかった。実際に呼ばれて出て行った時にしか報酬として支払われないというのは、わたしとしても大問題と認識している、産科だけでなく、救急周術を担わなければならない救命救急センターのドクターたちも同じような悩みを抱えていると思う。一体労働とは何かということが問われている。そうでないなら、救急手術に対して、常時その場に医師を置かないといけないということが発生する。では次の患者さんが出た時にどうするか。すると誰かやっぱり呼び出さないといけなくなる。というようなことに関しての議論がこれまでなかったのが大きな問題と思う。
また、病院の医師定数の問題がある。都立墨東病院の産科医は定員9人。9人でいつもやれる状況かというとそれは無理。病院の医師定数はかなり昔に決まったもので、ほとんどそのまま変わっておらず、ほとんど実情にそぐわない状況。私立の場合は実情に合わせて増やすということができると思うのだが、公立病院の医師定数はとても実情にそぐわない。それだけ確保できるかという問題はあるが、まず常勤医ということで、きちんと正規雇用していただくような定数を確保していただく事が、ぜひ必要。補助金ではなく、本来やっている労働で病院が成り立たないということを考えると、今の公立病院はほとんど無理。中医協など全体の話と絡むと思うが、大きな問題がここにある。
  
[杉浦正俊委員(杏林大学医学部准教授)]
非常に大きな問題をはらんでいて、この協議会でどこまで解決できるかというのもある。新生児科医が足りないのが、NICU不足の最大の原因。このたび、NICUを1.5倍に増やすという目標が打ち立てられた。ただ、調査をしてみると、「医師が足りなくてこれ以上増やせない」というのが大部分。足りない理由は過重勤務。ということで、この問題はなかなか簡単には解決しない。ただ、大事なことは産科の先生が足りないということもあるが、小児科の新生児はもっと危機的な状況にあるということ。それをここで発言しておきたい。
 
[岡井会長]
この件だけでもディスカッションしていると終わってしまう。問題の整理だけでも。
 

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