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ニュース〜医療の今がわかる

「交替勤務できる周産期センター体制を」―医師確保・労働のバランスは

 

■「産科医療崩壊の第2次ブームが来る」

[中林正雄委員(愛育病院院長)]
医師を確保するためにNICUの診療報酬をどう上げるという話は必要。それによって現在の医師への対応を良くするというのは大前提だが、この中にはNICUの医師養成に関する話がない。医師が足りないのをどうするか。産科は産科婦人科学会全体で運動して少し増えてきているが、NICUは小児科の一部であるために医師増作戦、その他を取ることがなかなか難しい。箱ものができても人材養成が入っていない。文部科学省も何かしようという動きはあるが、自治体も引っ張っていくという姿勢、都がNICUの医師の養成を進めようということが提言に盛り込まれるとさらにいい。
 
[岡井会長]
女性医師の勤務環境改善の話に行きたいが。
 
[竹下俊行委員](日本医科大教授)
女性医師の問題について。今年度から、日本産科婦人科学会の方で、男女共同参画委員会というのをやれと命令を受け、そちらの方の委員会のを運営している。男女共同参画というと分かりにくいが、桑江先生が女性医師の継続的就労支援ということで中心になって会を運営されていましたが、それを引き継ぐような形。先日委員会を開き、雑談程度に出た話だが、学会員の7割が30歳以前。この状況があと10年続くと、産科医療崩壊の第2次ブームが来るといわれるほどの危機的状況が予想される。この中で出た話が、お産をして子どもを預かる保育所が足りない。1月にお産をしてくれると、4月から保育所に預けられる。今年、私の医局では4月に2人がお産をする。そうすると、来年4月までは子ども預かってもらえないので勤務できない。そういう問題が生じている。10月にもう1回とか、年に3回ぐらい募集があると、かなりの女性医師が勤務に復帰できる状況になるのでは。産科や新生児だけ優遇とは言わないが、都民が承知しないだろうから、もう少し広げて、もう少し公益性ある職種に就いている方のお子さんを優遇して優先的に保育所に入れて頂くとか、もう少しフレキシブルに考えていただけると勤務環境の改善になるという意見も出た。ここに福祉保健局の方がおられるので、ぜひその方向性で考えてもらえれば。
 
[岡井会長]
女性医師の勤務環境に関して、保育所の問題は相当大きなネック。優先的に女性医師の子どもを預かるというのではなく、保育所全体を増やすことが必要。圧倒的に足りない。
さきほどオンコールにお金が出ないという話があったが、今度スタートしたスーパー総合は、「スーパー母体搬送」のために待機しているオンコールの医師に対して、都からお金を出してもらっている形。これはいい方向の突破口として続けていってもらいたい。
 
[桑江委員] 
保育所は仰る通りで決定的に足りないのだが、病院は看護師や薬剤師など女性がたくさん働いているところ。大きな病院では院内保育所を持っているところが約半数。ただ、途中で増やすとそれに対応する保育士をまた増やさないといけないということになる。国の基準だと『床面積がどうこう』という話にまでなってしまい難しいので、院内保育所であれば、ある程度フレキシブルにできる。都立病院には24時間対応の保育所をやって頂いて小さな子どもがいても働けている。あとはやはり本人のモチベーションもあるが、周囲からの「女性が子どもを産んだら戦力としてダウンするので困る」というある意味冷たい、厳しい目というのが現実問題としてあり、そういうことがネックになっていることもある。実際、40歳以下の産婦人科医の50%が女性という時代。あと10、20年後にはその方たちが、引っ張っていかないといけないのに、その人たちがずっと働けない現実があると、いつまでたっても足りないということになる。都立病院には様々な施策をして頂いた結果、都立大塚病院や府中病院にも残るようになってきている。手を打っていただければ必ずやる気がある医師は残るので、ぜひともやって頂きたいと思う。
 
[岡井会長]
今日はこの議論に終止符を打ちたい
 
 
 このほか、議論の最後には、中林委員が院長を務める愛育病院が総合周産期母子医療センターを返上すると打診した問題についての報告もあった。

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