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ニュース〜医療の今がわかる

先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(1)―意見陳述(日薬連)

■ 製薬企業が取り組む5つの課題
 

[竹中登一・日薬連会長(アステラス製薬(株)代表取締役会長)]
00_日薬連の意見書0603.jpg おはようございます。ご紹介いただいた日薬連の会長を務めている竹中です。

 本日は、日薬連が提案している薬価制度改革に関して陳述の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。

 日薬連からの発表は、私から「薬価制度改革を提案した背景」、次いで製薬協の庄田会長から「未承認薬開発への取り組み」と、提案している「「薬価維持特例」について説明したい。

 続いて、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長から「後発医薬品の使用促進に向けた取り組み」を説明し、最後に私が総括する。

 ※ 画像をクリックすると拡大します。

【P1・製薬産業の使命と今日的課題】
01_日薬連の意見書0603.jpg では、資料(薬価制度改革に関する意見)の1ページ(製薬産業の使命と今日的課題)。

 製薬産業は、優れた医薬品を開発・供給することにより、人々の福祉と医療の向上に貢献し、健康で質の高い生活の実現に寄与することを使命としている。

 使命を達成するため多くの課題に取り組んでいるが、現在、患者さんと医療現場から強く要望されている5つの課題に対して、優先的かつ精力的に取り組んでいる。 

1.アンメット・メディカル・ニーズに対応した革新的新薬を研究・開発、上市すること。
2.患者さん・医療現場のニーズの高い未承認薬・未承認適応問題を解決すること。
3.採算性に乏しいが、医療上不可欠な基礎的・伝統的医薬品を安定供給すること。
4.高品質で廉価な後発医薬品を安定供給し、その普及を促進すること。
5.研究・開発から市販後まで一貫した安全対策に取り組み、医薬品の安全性を確保すること。

 これらの課題に製薬企業がどのように取り組んでいるかについて、ご紹介したい。

【P2・新薬の研究開発】
 2ページをご覧いただきたい。

 日本の製薬会社は、約50年前から本格的な創薬に取り組み、日本が強い科学技術、有機化学、発酵化学 薬理生化学などを活用して、多くの革新的新薬を創生し、グローバルに販売してきた。

 最近では、バイオ技術、ゲノム科学などの最先端科学技術を採り入れて、病気の原因を究明する基礎研究から、国際的な臨床研究を行う、この図のような研究・開発を行っている。

02_日薬連の意見書0603.jpg しかし、新薬の研究・開発に問題点がある。

 研究・開発期間が10年から20年と非常に長いこと。臨床開発費が高騰した結果、研究・開発費が1品目800から1300 億円と高くなっていること。

 さらに、最先端科学技術を活用して創薬を研究しているが、依然として成功確率は0.005%と低いことなどの問題点がある。

 こうした研究・開発での問題点を改善するため、業界は官民対話の場を通じて、関係省庁の協力を頂き、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を策定し、実施している。

 「5か年戦略」では、病気の原因分子を探求するライフサイエンス分野への公的研究資金の投入、そして、産学連携の促進、臨床治験の環境整備、承認審査体制の整備、イノベーションを適切に評価する薬価制度などを重点課題にしている。

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