先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(1)―意見陳述(日薬連)
■ 後発品の使用促進を検証した上で、引き下げも
【P20・総括1-革新的新薬の評価と後発品の使用促進等】
では最後に、私(竹中・日薬連会長)から日薬連の陳述を総括する。
革新的新薬の評価と後発品の使用促進を含めた「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」は、2007年6月の「経済財政改革の基本方針2007」で閣議決定されている。
その中で、後発品使用促進については政府目標が設定され、一方、革新的新薬の評価としての「特許期間中の新薬の薬価改定方式」については、2007年末の中医協で継続検討されることが決定している。
後発品の使用促進は既に先行実施されているが、先発品企業はPMDAと共同して、特許の切れた成分に関する国内外の副作用情報の収集および一般開示などの安全対策で協力している。
未承認薬・未承認適応問題は、「未承認薬等開発支援センター」を設立した。
今後はその進捗状況を適宜、中医協に報告する。
【P21・総括2-制度導入当初の後発品進捗と対比した財源手当て】
制度導入当初の後発品進捗と対比した財源手当てについてまとめた。
「薬価維持特例」の導入に際し、後発品使用の政府目標に届いていないときは、財政影響を緩和するため、不足財源の一定部分を既収載品の薬価を引き下げることなどで対応することはやむを得ないと考える。
その際は、なぜ後発品の使用が目標通りに進まなかったかを検証する必要がある。
そうした検証の上で、後発品のない新薬や後発品のある先発品、後発品などのさまざまな組み合わせの中で、最も妥当な範囲を選定し、かつ「薬価維持特例」実施の財政影響と、当該年度における通常の薬価改定の影響を勘案して、引き下げ率を決めるのが適切と考える。
【P22・総括3-薬価維持特例導入の全体的意義等】
保険医療上不可欠な基礎的医薬品や伝統医薬品で、採算性に乏しいため、安定供給が危うい品目も、「薬価維持特例」の適用対象とする。
こうした「薬価維持特例」の導入により、革新的新薬の研究・開発と上市を促進するとともに、採算性に乏しいが医療ニーズのある基礎的・伝統的医薬品の安定供給を確保したいことが、本提案の趣旨。
「薬価維持特例」の実施は、医薬品の流通当事者の意識を高め、総価取引などの不適切な取引慣行も是正されると思われるので、医薬品の価値をより適切に反映した市場価格形成にも寄与できると考える。
以上で、日薬連の報告を終わらせていただく。ご清聴、ありがとうございました。
[遠藤部会長]
ありがとうございました。それでは、時間の都合もあるので、引き続いてファルマからお願いしたい。
※ 続きは、(2) 意見陳述(ファルマ等)をご覧ください。