先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(1)―意見陳述(日薬連)
■ 後発品の情報提供を一本化
【P16・後発医薬品の使用促進に向けた取り組み】
日本ジェネリック製薬協会の澤井です。本日は、このような発言の機会を頂戴し、大変感謝している。
さて、われわれ人類が現在の文明を謳歌できるのは、特許制度によるところが大きいと言われている。言うまでもないが、発明・発見を奨励するために、特許期間中は独占的販売権があり、そして特許期間が満了すると、その技術は国民共有の財産として無料で開放されるというところに特徴がある。
医療用医薬品の場合、特許期間が満了すると、同じ効きめで値段が安いジェネリックが出てくる。つまり、ジェネリック医薬品が、その特許を完結する役割を果たしている。
ジェネリック医薬品が出てきたため、全世界の医薬品のコストは大幅に下がったと言われている。一説によれば、70%平均下がっている。
そのため、各国ではジェネリックの使用促進の普及に努めている。現在、海外では(後発品が)60%以上のシェアを国が多数出ている。
ところが日本では、ご承知のようにジェネリックのシェアはまだ低いまま。その原因はいろいろあるが、その1つに、「ジェネリック医薬品に対する信頼性が十分でない」との指摘がある。
そこで、私ども日本ジェネリック製薬協会としては、2007年10月に厚生労働省が策定した「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」について、安定供給、品質確保、情報提供にかかわる目標の達成に向けて、業界一丸となって努力している。
時間が限られているので、資料に基づいて説明する。16ページがまとめになっている。17ページから説明したい。
【P17・アクションプログラムに対する取り組み】
業界として、アクションプログラムに示された3つの課題(安定供給、品質確保、情報提供)に取り組んでいる。
1. 安定供給
卸業者への納期の短縮、生産能力の増強など、安定供給体制の整備を図っている。
2. 品質確保
長期安定性試験、無包装状態での安定性試験の実施、ジェネリック医薬品の品質などの問題を指摘する文献を収集、評価するなど、品質確保体制の整備を図っている。
3. 情報提供
生物学的同等性試験結果などの添付文書への記載、ホームページでの情報提供などの充実を図っている。
以上について、着実に成果が上がっているが、具体的に言えば、卸業者に在庫がない場合の即日配送は、07年度末に達成率55%だったが、08年度末には83%に上昇し、目標の75%をクリアしている。
また、品質試験についても、承認申請時に求められていない無包装状態の安定性試験の終了割合が、07年度末68%から、08年度末91%に上昇している。
文献調査など、継続的な実施が必要なものもあり、今年度以降は「品切れゼロ」などの目標に向けて最善の努力をしていく。
また、ジェネリック医薬品業界として、アクションプログラムに加え、業界自らもう一段の取り組みにも着手している。資料の18ページ、19ページに図で示した。
【P18・後発医薬品情報提供ネットワークシステムの構築】
国民・患者のジェネリック医薬品に対する理解を得るため、また医療関係者からのジェネリック医薬品の情報提供の要望に応えるため、情報のネットワーク化を図り、情報提供体制のさらなる充実を図る。
情報提供は会員各社でも行っているが、併せて一本化されたジェネリック医薬品情報の窓口を設ける。
当協会のウェブサイトにアクセスすれば、全会員会社の情報にアクセスでき、必要とする資料や紹介の回答がタイムリーに得られるという、患者さんや医療関係者のニーズに的確に応えられるシステムの構築を進めている。
【P19・啓発事業の強化・自治体等への協力】
国民・患者にジェネリック医薬品のメリット等を広くアピールし、また医療関係者にジェネリック医薬品の品質や安全性に関して理解を得るため、積極的な広報活動を展開する。
なお、広報に関しては、私ども業界側での取り組みもあるが、業界のみではその効果は限られている。行政ご当局の取り組みは極めて重要なので、今後ともご配慮いただくよう、お願いしたい。
また、医療保険制度上の取り組みに関しては、ジェネリック医薬品の使用促進がさらに進むよう、薬局、医療機関における患者説明、備蓄等の努力に見合うような仕組みをご検討いただければありがたいと考える。
以上、政策実現のために業界として最大限の努力をしていく所存であることを誓い、私の発言を終わらせていただく。ありがとうございました。