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「DPCによる急性期医療の評価と今後の方向性」 ─ 松田晋哉教授の講演

■ 集約化をやっていかなければいけない
 

[松田晋哉・産業医科大医学部公衆衛生学教授]
 これ(08年5月9日のDPC評価分科会資料から作成したスライド)は福岡県の4疾病のトップ10リストです。これは毎年5月に出されるデータで作りました。例えば、日本で今一番どこがPCI(冠動脈インターベンション治療)をやっているのかということが分かってしまいます。

 ここで考えなければいけないことは、(狭心症)PCIと平均在院日数との関係です。たくさんこなしている所(病院)は在院日数が短くなっています。あまりやっていない所は非常にばらつきます。もっと重要なことは......。
 症例数の多い所が1患者当たり平均DES(薬剤溶出性ステント)を何本使っているかを(研究班で)調べてみました。症例数が多い所はやはり大体1本に集約していきます。症例数が少ない所では、3本だったり2本だったりします。
 もちろん、治療できたと書けば支払いはしてくれますけれども、よく考えてみると、最初の見立てが悪いんだろうと思います。そうすると、医療費の無駄ということになってしまう。やっぱり集約化が必要です。

 これ(スライド)は(福岡県・北九州医療圏での)狭心症PCIの施設集中度を見たものです。九州厚生年金病院や産業医大が頑張っていないというわけではなくて、僕ら(産業医大病院)も(08年7月~12月にかけて)100例ぐらいはやっているのですが、小倉記念病院というモンスターがいますので、こんな感じ(小倉記念病院だけが突出している状況)になります。

 これ(福岡県・福岡糸島医療圏)では、モンスターがいないので、どんぐりの背比べ状態です。ここで大事なことは、福岡糸島医療圏は(08年7月~12月にかけて)1006件です。北九州医療圏は(同様に)1347件です。
 実は、医療圏の人口は福岡(糸島医療圏)のほうが1.5倍ぐらい多いんです。要するに、集約しきれていないために、数がこなせなくなっているという現状もあるわけです。実際、福岡糸島医療圏から北九州医療圏にかなり患者さんが流れてきています。Gini係数で見ても倍違います。

 AMDD(医療機器提供コストの日欧比較調査2009)で見ても、日本はバルーンおよびステントの医療機関への症例集中度が年間200症例以下という施設が60%です。アメリカは、年間600例以上やっている施設が50%以上ある。
 そうすると、何が起こってしまうかというと、1人の医療材料メーカーのMSさんが見なければいけない施設数が非常に多くなってしまいます。しかも、各施設の症例数が少ないので、材料のデリバリーが非常に悪くなってしまう。

 例えば、有効期間が6か月しかないようなものが日本に入ってきたときに、あと何か月残っているのかという話になる。有効期限切れの材料が一杯出てきてしまいますので、こういう医療資源の効率的な使用のためにも、僕は集約化をやっていかなければいけないと思います。それをやらないと、医療材料や医薬品の単価を下げることもなかなか理解を得られないんじゃないかなと思います。
 

【目次】
 P2 → 急性期病院は40万床ぐらいが妥当
 P3 → 支払いのためにDPCをつくったわけではない
 P4 → 地域医療の新しいガバナンス機能が必要になる
 P5 → アクセシビリティー評価のため情報を整理する必要がある
 P6 → 急性期病院の評価は機能係数だけでなく複合的に
 P7 → 救急をどのように評価するかが難しい
 P8 → 救急は連携体制を評価しなければいけない
 P9 → 救急の評価はロジックを少し変える必要がある
 P10 → 「地域医療指数」はまだ明確ではない
 P11 → 集約化をやっていかなければいけない
 P12 → DPC病院の将来は「救急」「周産期」「がん」がキーワード
 P13 → 慢性期の病院に関して、ちょっと僕は分からない

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