「DPCによる急性期医療の評価と今後の方向性」 ─ 松田晋哉教授の講演
■ 救急は連携体制を評価しなければいけない
[松田晋哉・産業医科大医学部公衆衛生学教授]
救急を議論する上で忘れてはならないのは、入院に至らなかった患者さんの救急です。このデータ(救急受け入れの状況)、非常に僕らもびっくりしたんですけど、救命救急センターであっても、それ以外(初期、二次)であっても、やってくる患者さんの70%から75%は実は一次患者。外来で来て、外来で帰る患者さんです。
津波のように押し寄せてくる外来患者さんの対応に追われながら、なおかつ入院が必要な患者さんを診ているというのが日本の救急の現状です。
そうすると、救急部門を評価するということは、救急そのものの機能を外来も含めてやっていかないと、係数としてはおかしいということになるだろうと思います。ここをどう考えるか。
それから、救命救急センターとそれ以外(初期、二次)でも、(違いは救命救急センターに)「指定されるかされないか」ですが、扱っている患者さんを見てみるとそんなに変わらない。これをどう考えるか。実は、患者さんの種類を見るともっとこれは......。
いずれにしても、このように津波のように押し寄せてくる一次患者さんを診ながらやっている救急をどうするかということで、僕たち(研究班)はやはり連携体制を評価しなければいけないだろうと考えています。
これ(診療所が輪番制で準夜帯の救急外来を支援する取り組み)は、もともとは小児で始まった。例えば、福岡大学筑紫病院とか、(福岡県の)飯塚病院がやっているものでした。
これは何かと言いますと、急性期病院の外来に地域の開業医の先生がやって来て、いわゆる準夜帯の所で軽い一次患者さんの対応を診療所の先生たちがやって、残りの本当に入院が必要な患者さんを病院のスタッフが診る。
救急をやっている病院の外来のトリアージの場、連携の場として、重症患者さんを病院が診て、軽い患者さんを指定の先生方が診る。
これは小児については、加算が付いていますけれども、こういうものを成人にも広げられないかということで、ずっと提案してきたわけですが、これが今回(改定で)入ります(地域連携夜間・休日診療料)。でも、こういう体制そのものを救急に関しては係数化していく必要があると考えています。
【目次】
P2 → 急性期病院は40万床ぐらいが妥当
P3 → 支払いのためにDPCをつくったわけではない
P4 → 地域医療の新しいガバナンス機能が必要になる
P5 → アクセシビリティー評価のため情報を整理する必要がある
P6 → 急性期病院の評価は機能係数だけでなく複合的に
P7 → 救急をどのように評価するかが難しい
P8 → 救急は連携体制を評価しなければいけない
P9 → 救急の評価はロジックを少し変える必要がある
P10 → 「地域医療指数」はまだ明確ではない
P11 → 集約化をやっていかなければいけない
P12 → DPC病院の将来は「救急」「周産期」「がん」がキーワード
P13 → 慢性期の病院に関して、ちょっと僕は分からない