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「DPCによる急性期医療の評価と今後の方向性」 ─ 松田晋哉教授の講演

■ 急性期病院は40万床ぐらいが妥当
 

[田中滋座長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
 (シンポジウムの)最後、4人目は松田晋哉先生です。松田先生は産業医科大学医学部公衆衛生学教室の教授ですが、それだけではなく、我が国の「ミスターDPC」でもあり、また人々の健康づくりにとっての「ヘルスサポート」でも第一人者として活躍されておられます。また、日本だけではなくてフランス政府でも働いたことがおありです。松田先生、よろしくお願いいたします。

[松田晋哉・産業医科大医学部公衆衛生学教授]
 ご紹介いただきました産業医大の松田です。今日は、「DPCによる急性期医療の評価と今後の方向性」ということでお話をしたいと思うのですが......。
 (急性期医療の方向性については)もう大体、(田辺三菱製薬営業推進部の)谷澤(正明)さんがほとんど話されてしまって......、(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長の)小山(信彌)先生がいろいろ話されたので、僕はもうあまりないのかな......、と言いながら少し話させていただきます。

 小山先生のお話にもありましたように、「医療制度改革の概要」としましては、基本的には「医療費の適正化」と「質の向上」(という目的)になっているわけですが、この「医療費の適正化」というのは恐らく、「医療費を安くする」ということじゃないんだろうと思います。

 やはり、必要な所に必要なお金をきちんと回していくということ。そのためにはやはり、構造改革(医療提供体制の改革)が中心課題になっていると思います。急性期であるならば急性期病院がどれぐらい必要なのか。
 先ほど、(社会保障国民会議が2008年11月4日にまとめた最終報告のB2シナリオを挙げて)「60万床」という意見が出ておりましたけれども、恐らく今の急性期病院の規模としては、僕は40万床ぐらいが妥当なところだろうと思います。急性期の後を担う一般病床として、たぶん30万床とか40万床があって......。

 そういう意味で、「医療提供体制の改革をどのようにやっていくか」ということが、これから6年ぐらいの一番大きな課題になってくるだろうと考えています。
 そのためには、1つは(機能分化を推進して)選択と集中による提供体制の効率化(を進めて配分の適正化を図ることが必要)ですし......。

 もう1つ大事なことは在宅ケアの推進(慢性疾患の管理)だろうと思います。あと20年もすれば年間160万人も死亡する時代が来ます。日本人の8割以上が施設で亡くなっているわけですが、その160万人の人たちが施設で亡くなるというキャパシティーは今の日本にはありません。

 そうしますと、今の代替医療の延長線ではなくて、病院医療の延長線上としての在宅ケアというものがどうしても必要になってくるだろうと思います。たぶん、それを支えることができる病院群というのが必要になってくると思いますので、それをこれからどういうふうにつくっていくのかということが大きな課題だろうと思います。

 ただ、それをどういうふうにやっていくのか。やはりその(医療提供体制の改革の)ためには情報が必要だろうと思います。地域においてどのような医療のニーズがあって、地域においてその医療提供体制はどうなっているのか。
 その需給のミスマッチみたいなものをどのように判断していくのか、この辺が非常に重要になってくるのではないかと思います。私たちは、このDPCというのをそういう情報の一環としてつくってきたと考えています。
 

【目次】
 P2 → 急性期病院は40万床ぐらいが妥当
 P3 → 支払いのためにDPCをつくったわけではない
 P4 → 地域医療の新しいガバナンス機能が必要になる
 P5 → アクセシビリティー評価のため情報を整理する必要がある
 P6 → 急性期病院の評価は機能係数だけでなく複合的に
 P7 → 救急をどのように評価するかが難しい
 P8 → 救急は連携体制を評価しなければいけない
 P9 → 救急の評価はロジックを少し変える必要がある
 P10 → 「地域医療指数」はまだ明確ではない
 P11 → 集約化をやっていかなければいけない
 P12 → DPC病院の将来は「救急」「周産期」「がん」がキーワード
 P13 → 慢性期の病院に関して、ちょっと僕は分からない

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