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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼6・井上清成弁護士


村重
「教育によって改善が見込まれるケースはということですね」

井上
「改善できないものを教育しても意味ありません。一方で、教育で改善できるものに制裁を加えるのも余分なことです。ただし制裁を全くゼロにしていいかというと、制裁というファクターがないと社会秩序のバランスが取れません。どの範囲なら、教育で、どの範囲なら制裁かということをあらかじめ決めておく必要があります」

村重
「そこにも国民のコンセンサスが必要で、皆さんで情報や意見を出し合って議論して合意する必要がありますね。範囲を決められるかどうかも議論が必要でしょう」

井上
「議論する前提として、情報公開して、考え方をリーダー的な人がいくつか提示して、公の場でバトルを繰り広げて、皆でどうしようか考えて、で恐らく妥協するということが必要なんだと思います。しかし、現在は、情報公開はしないわ、考え方を提示しないわ、議論しないわで、先にある結論に寄せて行くようなことがやられている。こういう方法では、難しい問題にまともな解決策は出てきません」

村重
「無理に策を作っても、国民の心はついてきませんよね」

井上
「悪口を言うと、特に村重さんの所属していた厚労省周りでは、公開せず提示せず議論せず、結論だけに寄せて、逆算した形で体裁を取り繕うようなことばかりしていませんか」

村重
「全く仰る通りです」

井上
「世の中がグチャグチャの分かりにくい時代に、そういう手法だと、的外れなKYな政策を打っちゃうことになります。世の中が安定していて、全体の方針が一貫して決まっている時代なら、まあいいかもしれないですけれど、こういう価値観の見えない時代になると、時としてとんでもない政策になってしまう可能性があります。理論としてはあり得ても、現場からはあり得ないというような」

村重
「仰る通りです。国民のことを考えずにニーズと関係ない政策を次々に展開しています」

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