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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼16・近藤達也PMDA理事長(中)


村重
「よく、PMDAの人は『上にも横にも行けなくてかわいそうだ』と聞くんです。『上にも』というのは、幹部が厚労省から来ているのでPMDAにプロパーで採用された人たちが昇進できないという意味で、『横にも行けない』というのは、メーカーに勤められないという制限があるので、辞めても行くところがないから辞められないという意味です。『上にも横にも行けない』閉塞感というのをよく聞きますよね」

近藤
「上の方は、私が薬事行政の外から来たみたいに、違う世界から来るのがいいのかもしれない。逆に、PMDAからどこかのトップになってもいいわけですし。アメリカが何でうまくいっているかというと、FDAから企業へ行ったり、A企業からB企業へ行ったりできるからで、これはすごい話ですよね」

村重
「だから専門家としての議論が発展して全体のレベルが上がって行くんだと思います」

近藤
「こういう流動性は、Transparencyですよね。就業制限とかが無くなる代わりに、悪事を働けばもちろんアウトですけれど」

村重
「悪いことするのとTransparency(透明性)とは違いますからね」

近藤
「思いきって流動性のある世界にするのがいいのでしょうね。実は私の同級生に弁護士がいて、PMDAに就職すると将来の昇進が制限されていて、しかもどこにも外部へ行けない就業制限があるというのは、かわいそうでおかしな話だと話していました。米国FDAには、別の所に行ったら接触禁止というのがあると聞いていますが、この接触禁止の意味が、日本では正しく理解されていませんね。口利きの役目、渉外の役目を禁止すればいい、例えばPMDA出身者がA製薬会社に移った際に、レギュラトリーサイエンスをサポートするのはいいけれど、顔をこっちに向けてPMDA職員と接触するのはいけないということです。日本では、省庁出身の人が、色々な企業や大学へ行きますよね。学部を作ったりする際に、こういう風にしたら学部ができるよ、こういう人材を揃えるといいよと知恵を授けることは構わないけれど、過去のツテなどで文科省の担当者に何か口を利いたり、やってちょうだいよとニッコリしたりしてはいけないということ。こういう渉外の役や口利きなどの接触をするような仕事に就いてはいけないというのが筋だと思うのですが」

村重
「そんなに制限しちゃって大丈夫なんですか。悪いことしちゃいけないのはその通りですが」

近藤
「適切な仕組みが出来れば構わないと思います。どういう仕組みにすべきなのかはまだ具体的ではありませんが」

村重
「色々やってみて試行錯誤するしかないのではと思うんですけどね」

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