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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼16・近藤達也PMDA理事長(中)


近藤
「それは何としても、色々な方向でなくさないといけないと思いますよ。国民のニーズに応えるためにも」

村重
「そうですか。ぜひよろしくお願いします」

近藤
「ただし、注意しなくてはいけないのは、日本でもう治験しないでいいと、治験しないで欧米でやればいいという極論。欧米で認められた薬は日本でもそのまま認可しなさいというのはおかしいと思います。国際共同治験というスタンスを始めたからには、日本でもやる、同時にやる、何としてでもやるというくらいではないと」

村重
「国際共同治験をやっても、他の国では言われないような、あまり科学的でない指摘をされて、共同治験が成り立たないという話を、よく聞くんですけど」

近藤
「国際共同治験はICH基準などで調整が進めば、各国の条件はほとんど同じになると思いますよ。ですので、日本の審査官が理解に困る指摘をしたとかいうのは、段々と解消されていくと思います。基本は同じ基準になるのではないでしょうか。そういう風に持っていかないといけないのですから。そういう意味においても、日本の治験は高額だからという理由で日本では治験せずに他国でのみ試験を実施し、他国の承認を得たからそのデータのみで日本で認めてもらおうというのは違うと思います。日本を無視して治験を全部やって、欧米で認められた医薬品は全部認めるべきというのは違うだろうと。日本国民で全例しなければならないといっているわけではないのです。ある程度の相関が見えるデータ等を準備していただかないとおかしな話ですよね。実はね、診療現場にいると、日本の治験はかなり真面目にされていることが判ります。外国の製薬企業の方も日本の治験データのきめ細かさについて評価してくださっていますよ。特にフェイズ2、フェイズ3の治験データは勉強になるというか、データがさらにキメ細かく出ているから参考になる情報がたくさん含まれていると思う。しかし、現実には、それがあまり評価されてない」

村重
「科学的にどこまで必要なのか、現実的なのかということですよね。あとは折角取ったデータですから全部公開してくださいね、ということ」

近藤
「今は、埋もれてしまっていますからね、もったいない。高額な治験かもしれないけれど、内容は濃いのであれば、少々高額になる価値はあるのかなと私は思うのですが」

村重
「ちゃんと公開されて、国民にフィードバックされるんであれば。国民が判断するんだと思います」

近藤
「それはPMDAがどの程度取り組めるかでしょうね。質の高い治験データであること、その辺をどうアピールするかでしょうね」

村重
「公開していただければ十分にアピールになると思いますよ」

近藤
「そうですよね。概念として、世界共通ということですよね。世界共通に向かって標準化していくことですよね」

村重
「もっともっとレベルアップして、世界から置いていかれないようにしないと」

(つづく)

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