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ニュース〜医療の今がわかる

厚生労働省のデータは実態を反映しているか

■ 臨床医学研究の論文数
 

【文科省の説明】
 続きまして42ページ、これは中村委員(京都大学医学部附属病院長)から一流誌に出ている論文のデータがないかというお尋ねでございました。

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 内科というお話がございましたが、内科だけというものはありませんでしたので、全体で大変恐縮ですが、ご用意させていただきました。臨床医学研究の論文数についてというものでございます。全体の傾向といたしましては、世界全体の論文数が平成15年から19年にかけて9.8%増加、一方、日本では8.8%の減であり、国立大学全体でも7.0%低下している。

 次の43ページ、大変細かな字で恐縮なのですが、臨床医学の論文数を80年代後半、90年代後半、そして2007年から2009年ということで比較したものでございます。

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 例えば80年代後半、日本は4.3%のシェア、それが90年代後半では8.1%のシェアに伸びた。ところが、2007年から2009年につきましては6.6%に低下している。

 一方、中国を取り上げてみますと、同じような時期で0.6%だったのが1.1%に増加し、さらに2007年から2009年では3.8%に増加しているというデータでございます。

 ▼ 前回会合で、中村委員はこう述べた。
 「私の立場は国立大学の病院長ということで今回ここに出席させていただいていると思いますが、今回幾つかのデータを見せてもらって、それから、これまでの資料を少し拝見したんですけれども、まず全般的な話として、大学の医学部の使命というのは、基本的には医師を養成、人材を養成することと、それと、新しい医療をつくっていくことですね。そして、地域に安全で高度な医療を提供するという、3つの使命があるということは基本だと思うんです。今一番言われているライフ・イノベーションということの中で、戦略をすすめるには新しい医療をつくるというそのエネルギーが非常に重要であると思います。しかし、その中で、医師が不足している、偏在しているという問題が起こっており、非常に難しい状況に来ています。
 そこで、今回データを見ていて一番印象に残ったのは、地域枠をつくったことで、やはり地域に定着する人が生まれてきているということで、それは国立大学病院が非常に頑張って努力しているということだと思うんですね。一方それだけ学生が増えたけれど、医学教育には1人の学生に1名の教官がいるという状況に対して、とてもじゃないけどそういう形で教官は補えないで、ある意味でいったら、既存の定員を法人化してずっと増やさないで頑張って医師を養成しているというのが、国立大学だと思うんですね。その中で、国際的な競争をしながらイノベーションに勝っていくということをどうやっていくかということが、非常に課題になっている。
 僕が資料として見たいのは、一般的なデータで大学生が何人増えたという話だけではなくて、この5年間で例えば一流誌に出している内科の論文が日本からどのぐらい出ているか。それから、特に韓国と中国からどのぐらい出ていて、日本はどこの位置に来ているか。で、大学のランキングの中で日本の大学はどこもランクを落とされている。評価の仕方に問題があるということで批判はしているんですけれども、医療に関する限り、非常に大規模化して戦略的に高評価を獲得する方策が諸外国では講じられている。
 そういう状況がある中で、医師不足で学生を20名とか10名増やしたらいいと実施されていますが、僕は、地域の偏在の解決に関しては、若手の医師が、地域で仕事をしていてキャリアパスで自分がどんな医師になっていくか見えなければ、みんな、都会で安全な、人の多い場所に集まるのは当然だと思います。地域に居てもそこで次のキャリアとして、例えば専門医の資格を取っていけるようなシステムを見せてあげて、そしてはじめて、自分が生まれたところで医者をしていきたいというモチベーションが働くような形のプランをつくらない限りは、そこには行かないと思います。滋賀医大などを見ていると、少しそういうふうな芽が出てきていて、既存の医学部が努力していることを地道に育てることが、やっぱり一番早いのではないかと思っています。
 そういう中で、先ほど中川委員の、医師を増やすこととライフ・イノベーションということとは切り離されるということは確かに1つの見方として必要だと思うんですけれども、今の大学が置かれている環境の難しさというのは、医師養成と新しく医療をつくっていく研究的な課題と両方を解決しなければ、片方だけ解決したら日本の将来がよくなっていくということはない。
 そういう意味では、今の大学が置かれている状況がわかるようなデータが欲しいということと、この10年間、15年間に新しい講座ができているんですけれども、ほとんどの国立大学は人を増やさないで定員を回している。それから、定員がないので5年の有期で雇うというような形でやってきている。それで諸外国と対抗しながらどうにかやっている。その結果、規模としては大きくならないから、臨床試験をするためには大学の規模が外国に比べて小さいので、非常に経費がかかって共同研究ができない状況になっている。このように、今置かれている状況は非常に難しい。そういう大学の置かれた状況を横に置いておいて、20名増やすのは既存の大学では難しいんじゃないかという話じゃなくて、トータルな意味で今の既存の医学部を強化していくことで、学生定員も少し増やしていくことを考えていったらいいと思っています。
 また、僕は、先ほども申しましたが、一番重要なのは、若い人たちにキャリアプランが見えるようにしてあげないと、やはり地域には行かないだろうと思っています。それはネットワークでもいい、大学の大きな病院と地域の病院とのネットワーク、それから地域のネットワークをつくっていく。先ほど鳥取の例がありましたけれども、地域と大学が連携しながら、イノベーションも含めてアトラクティブにしていくことが重要なんじゃないかなというような感じがしています」

 

【目次】
 P2 → 現員医師数に対する必要医師数
 P3 → 100平方キロメートルあたりの医師数の分布
 P4 → 診療科別医師数の推移
 P5 → 看護職員就業者数の推移
 P6 → 医師不足の推計に関する主な論文①
 P7 → 医師不足の推計に関する主な論文②
 P8 → 医師不足の推計に関する主な論文③
 P9 → 国公私立大学病院の概況
 P10 → 臨床医学研究の論文数
 P11 → 医学部の教員数(常勤)の推移
 P12 → 歯学部の現状
 P13 → 地域の医療ニーズ

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