高齢者医療を守るのは誰か (下)
■ 「数字を出されて独り歩きする」 ─ 嘉山委員
[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長、山形大医学部大学院教授)]
えーっと先生、皆さんのお話を伺っていると、この調査はいったい何だったのかと思わざるを得ないんですけれども。えーっと、いろんな矛盾があるということが今、私自身、勉強不足で初めて分かったんですけれども......。
先生も......、分科会長ですか、お認めになったように、先ほどのコスト調査の結果ですね、この9ページ、スライド9の所ですね。
これだと、25対1で(診療報酬を)下げているはずなのに、1号(支払)側の先生方はこれ......、かえって25対1のほうが上がっているんですよね、これ、20対1より。
理由が分からないような調査をしてもしょうがないと思うんですね。かえって私は、こういう数字を出されて独り歩きするのは危険なので、やっぱり事務局(保険局医療課)がこれをおさえないと駄目なんじゃないかと思うんですね、こういうの。これがまた新聞に踊りますからね、危険ですよ、すごく。
それからあと、それと同じようなのがですね、次の13ページの、スライド13の......
先ほど、(支払側委員の)北村先生がおききになった在院時間なんですけど、25対1のほうがやっぱり長くなるのが多いんですけど、これ(調査結果)だとやっぱり、(看護職が多い)20対1のほうが多いんですね。
ですから、これも20対1と25対1に分けた効果が何も出ていないように見えちゃうんです。ですから、この調査自体が僕、信じられないなあーという感じがしているんですけれども。
もう1つ、その原因としてですね、たぶん調査サンプルが16とか10とか非常に少ないから、こういうふうになってんじゃないかと思うんですが、それを分科会長におききしたい。
それからもう1つ、これはお願いなんですけれども、先ほどの(診療側委員の)鈴木先生から地方の看護のソフトがないという所で、例えばある県ではですね、20対1をやっているような医療療養病棟を持っている病院は1病院しかないという県もあります。
従って、2次医療圏で、そういう「医療区分」でいう医療必要度の2、3という患者さんがどれぐらいいるのかっていうのを調べないとですね、それが健全に行われているかどうかが分からないので、そのことを調査していただきたい。これが最後のお願いです。以上です。
[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
はい。
[池上直己分科会長(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)]
ちょっとあの、先ほどのご説明で誤解があったかもしれませんけれども、資料編の10(ママ)ページの上のほうのコスト調査の結果でございます。
ここに掲示されているのは100%、医療療養病床の病院であって、こうした病院は結果的には20対1病院が7病院で、25対1病院が16病院しかなかった。
と言いますのは、ケアミックスの病院のほうが多かったので、ケアミックスの病院は他の影響が出るために慢性期の包括評価の影響を直に見ることができなかったので、それを直接見ることができる......、これが、7病院と16病院のみを提示したわけでございます。これはなかなか回収が難しい状況の中で、このような......。
この7病院と16病院については、それぞれ当該病院における21年6月と22年6月の同じ病院についての集計結果でございます。(嘉山委員が何かつぶやいた)
よろしいでしょうか? ですから、病院数を増やさないといけないというのはその通りでございますけど、いろいろ努力してもなかなかデータが集まりにくいということになります。
もう1点あの......、救急と......、地域の救急への対応については、20ページを見ていただければと思います。
これはあの......、一般病棟のみの場合にはこのような結果になっているということは......、あの、ご指摘には......付け加えさせていただきます。
▼ 池上委員の発言が終わるとすぐに鈴木課長が挙手。
[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
はい、医療課長どうぞ。
【目次】
P2 → 「慢性期医療は相当大きな課題になる」 ─ 北村委員
P3 → 「ちょっと分からないんですけど」 ─ 池上分科会長
P4 → 「もう少し追究する必要がある」 ─ 安達委員
P5 → 「地域の救急医療が崩壊する」 ─ 鈴木委員
P6 → 「結論から言えば理由は分からん」 ─ 池上分科会長
P7 → 「ちょっとおかしいんじゃないかな」 ─ 西澤委員
P8 → 「数字を出されて独り歩きする」 ─ 嘉山委員
P9 → 「数値の解析以上はできません」 ─ 池上分科会長
P10 → 「調べないと地域医療が崩壊します」 ─ 嘉山委員
P11 → 「認知症は医療・介護連携の要になる課題」 ─ 中島委員
P12 → 「大事なことなんで、ぜひお願いしたい」 ─ 西澤委員