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ホントに白い巨塔なの?大学病院って、こんな所。

大学病院の上手な使い方。

 大学病院がどんなところか、だいぶ分かったことと思います。
 では最後に、患者は大学病院とどう付き合うのが賢いのか考えてみましょう。一般論として、得意な分野、力を入れている分野で利用すべきというのはお分かりですね。
 これまでの説明でも分かるように、一般に大学病院が得意にしているのは難病・奇病です。それも大学によって得意とするものが異なります。また一般の市中病院で対応可能な病気の場合、何が何でも大学病院という理由はありません。自分の病気と相性がどうなのかは事前によく検討した方がよく、素人判断でいきなり受診するのは考えもの。期待したような治療が受けられない可能性もあります。
 まずは、かかりつけ医なり主治医なりに相談することをお薦めします。開業医や市中病院の医師は、ケンカ別れしたのでない限り、出身の医局に対して顔が利きます。また、大学では3時間待ちの医師が、アルバイトで街のクリニックに来ているなんて例もあります。
 他に大学病院が力を入れているのは何でしょう。これを考えるには、病院を運営するお金、スタッフの研究するお金がどこから出ているのか見るのが手っ取り早いです。
 現在の診療報酬体系では、基幹病院が「臨床」で黒字を出すのは至難の業です。「臨床」では「研究」を賄えないので、どこからか持って来る必要があります。
 その「研究」費となるのが、厚生労働省などが出す科学研究費補助金(科研費)と企業が出す寄付金です。
「賄う」には、正規職員以外の人件費も含まれます。手厚い体制を維持したければ、科研費や寄付を獲得する必要があるということです。
 科研費を獲得するためには、研究で実績を積む必要があるので、ますます論文作成に励まざるを得ない、こういう構図があります。また近年、科研費は従来型の医学部ではなく、大学院大学に手厚く配分されるようになりました。大学院大学になるには研究体制を拡充しないといけないため、これがまた地方の医師引き揚げの原因になっているとも言われています。
 何はともあれ、あなたが研究対象となる疾患の場合、大学病院は、他では得られない治療の選択肢を示してくれることでしょう。
 企業の寄付金はどうでしょう。目的との関係が非常に明確なのが、医薬品の治験(vol.13参照)です。まだ承認されていない医薬品の効果を確かめるものです。大学病院は、地域の中核病院であるため、大抵何らかの治験が行われています。
 この治験の対象になれば、新薬を試せるだけでなく、該当医療費もかかりません。ただし、試験段階ですから、普通の医薬品よりはリスクが高いことを押さえておいてください。
 大学病院が不得手な部分も当然あります。それは、一般に研究の対象にならないこと、です。例えば緩和ケアなどへの取り組みは、むしろ市中病院より遅れているかもしれません。

高度先進医療とTR。  医学研究には、基礎研究と臨床研究とがあります。試験管レベルやマウスなどの動物レベルで、生体や病気の仕組みを解き明かすのが「基礎研究」。日本からも世界的な研究者が数多く出ています。  新たに得られた科学的知見を実際の患者さんで研究するのが「臨床研究」で、最初は健康保険を適用させない「高度先進医療」(vol.24  vol.29 参照)や「治験」(vol.13参照)として行われるのが一般的です。  日本は、基礎研究が強い割に、臨床研究で成果が出ないのが課題と言われています。基礎研究を臨床研究に応用することをTR(トランスレーショナル・リサーチ)といい、国を挙げて推進しようと様々な枠組みが試されています。
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