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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会3

 最後に飯田氏。非常に刺激的な文言が並ぶ。
「最近、不正確な情報が医療関係者の間で飛び交っている。まず正確な情報をお知らせしたい。
警察への医療事故届出は年間200件以上あるが、そのうち検察が起訴したのはH11年1月からH16年4月までで79件。年平均15件しかない。刑事医療過誤事件として処罰されるのは、警察へ届け出られた事例の数%に過ぎず、立件送致されても大部分が不起訴になっている。刑事医療過誤事件が増えたのは、社会情勢の変化により、特に大規模病院を中心とした届け出が増えたためであり、捜査側が積極的に立件しようとしているなどというのは、根も葉もない話に過ぎない。また医師法21条の改正についても議論になっているようだが、それは順序が逆である。調査機関設置は何のためで、どういった経緯だったか。最近の医療過誤訴訟の増加は、患者と医療者との信頼関係の崩壊から始まっているのであり、この問題の解決には信頼関係の回復が不可欠で、そのためには医療者が自らの手で医療事故の真相究明に当たらねばならず、医療界が初めて自らの手で作業に取り組んだことは高く評価できる。しかしながら、「刑事訴追されるのでは医療をやってられない」という日本医師会的意見を言う人は、なぜこんなことになったのかを考えるべきであり、他へは盛んに文句を言うのだが、だったら自分たちは一体何をしたのか、と言いたい。しっかりとした中立・公正・透明な第三者機関ができることによって、かえって医療過誤訴訟増加に歯止めがかかることを期待できる。第三者機関には医療関係者だけでなく部外の第三者
特に患者側代表を参加させることが大切。患者側が参加することによって多少不満があっても受け入れ信頼関係回復へとつながる。また第三者機関設立の目的は再発防止だという意見もあるようだが、患者側が最も求めているのは真相の究明であり、再発防止は副次的に医療機関側が考えればよいこと。再発防止に目的を限ると、調査結果の活用・公開への消極的態度につながると危惧する。第三者機関の調査結果を患者側に説明するのは当事者である医療側の責任である。一番心配なのは医療側が第三者機関に丸投げすること。調査報告書は行政処分に活用するとともに訴訟資料としても活用すべきである。すぐ訴訟につながるのでないかと医療者は心配するけれど、むしろそうはならない。事故の届け出は義務付けること。任意に任せるときちんと届けられない。医師法21条の問題は、医療事故の届出制度が整備されれば自ずから解決の道筋がつく問題であり枝葉の問題。日本医師会提案のように法改正を先行して行う必要はない。医療過誤を刑事免責とすることは国民の理解が得られない。第三者機関の判断が中立・公正なものであれば、捜査・公判でも調査結果が尊重され受け入れられると期待でき、委縮医療を招くとの批判は的を射ていない。処罰されている医療事故はほとんどが未熟な医療者によるもので、むしろ医療界がその未熟な医療者を何とかする方法を考えるべきだ」

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