医療事故調検討会3
「私どもの言っているのとは質が違う。患者の取り違い、投薬ミスなど明らかなものは確かに明らかだ。だが、ここで議論されているのは、もっと複雑な事例のはずだ。同列に議論するのはおかしい」
前田座長
「医療側も認めるような明らかな過失、そういうものまで第三者機関を通さないといけないのかというと刑事の方は不安になる。合併症の問題まで司法がズカズカ踏み込んでいくことはない。そうは言っても大野病院事件の例があるじゃないかというかもしれないが、腑分けできるのでないかと考える。これについては次回モデル事業についてご説明をいただきたい。明らかな過失は警察へ行くということで、そのタイミングとして気になるのは刑事の証拠をキッチリ残していただけるか。透明性の原点はエビデンスが残っていること」
(ちょっと略)
と、すっかり収束ムードが漂い始めたところで豊田委員(新葛飾病院セーフティーマネージャー)が手を挙げる。
「被害者家族の立場からお話しする。遺族の側から見て明らかな過失であっても病院が認めないことはある。私の場合、息子を亡くしたのだが、それは未熟な医療を施したというのではなく何も処置してくれず、そのうちにショック死してしまった。警察へ行ったけれど事件性がないということで行政解剖へ回され、そもそも遺族は解剖の違いなんて分からないし、まして解剖結果が開示されないなんて思いもしなかった。いまだにハッキリしない。中園氏の開示できるシステムにという発言を聴いて心が救われる思いがした。そういう医療者に対して遺族としては警察で罰することまではなくても、少なくとも再教育は受けてほしい。しかし現実は刑事処分と行政処分とがセットになっているので、その医者は今も普通に診療を続けている。遺族の気持ちを入れた形で組織を設計してほしい」
前田座長
「過程に遺族なり代理人が入るのはリアリティはあるか」
飯田氏
「臨床経過を調査する過程で遺族の知りたいことは出てくる」
前田座長
「情報開示の観点も非常に大事だ」
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