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ニュース〜医療の今がわかる

後期研修班会議4

阪井
「もう1点、外科医が減って腹症でも死ぬというような話だったが、そうではないんでないか。外科医というのは、心臓外科とか脳外科とか言わない一般外科であっても、メスを振るって全身麻酔かけてというようなことをしているんだから大変な専門だと思う。少数にして、1人がたくさんの症例を手術する方が安全なんでないか」

小川
「それも当然ある。小さな病院をあちこちに作るより、今は交通の便がよくなっているから集約化してセンター化するのは最低限必要なことだろう。それすら地方ではできない」

阪井
「いや、現状の外科医が多すぎるんでないか。少ない方が腕が上がるということはないか」

小川
「欧米ではフラグメンテーション医療というのが一般的。それぞれ専門の医師が自分の担当分野だけ診る。しかし1人の患者さんをトータルに診る医師がいない。外科医は手術をいっぱいしているけれど、それで上手になるかと言えば決してそんなことはない。たとえば動脈瘤のアウトカムは、日本に比べてはるかに悪い。なぜか。日本のように手術した医師が退院まで責任を持つということになると、術語にこういうことが起きるから、前もってこういうことに気を付けておこうかと工夫するようなことがある。しかしフラグメンテーション医療だと、それぞれ分化してマニュアルに従ってやるだけだから、自分の後ろで何があるか知ったことじゃない。日本の場合、トータルに診ているので、いわばテーラーメード医療になっている」

阪井
「術後管理まで全部1人でやった方がいいということか」

小川
「それは時と場合による」

土屋
「小川先生に確認したいのだが、地域の理想の医師像というのが、卒前教育がよくなっているから身につくんだということで理解してよいか。阪井先生の質問は医学部の教育だけでは不十分じゃないかということだったと思う。家庭医をどう捉えるかという話ともつながってくるが、卒業したら家庭医の能力が身についているということか」

小川
「その方がやっている医師にもインセンティブになると思う。何科の医師でもインカムが変わらない現状では、何らかのインセンティブが働かないと、人は動かない」

土屋
「たとえば救急処置ができるという条件があったけれど、それを医学部卒業でできるようになると?」

小川
「今現在そこまでパーフェクトにできてないが」

土屋
「言葉じりを捉えるようだが、だとしたら、そういう能力を身に着けるには、どこでどのようにトレーニングしたらよいのだろう」

小川
「大学の中で医療をしていれば身につく。問題は内科だ」

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