「第二波に備えて想定し直しを」 政府側専門家の尾身・岡部両氏 ~参院予算委
[岡部]
新型インフルエンザ対策行動計画のディスカッションした時の専門家会議の議長をやった。その時に検討したことの骨子は、新型インフルエンザが出た時のことではなく、パンデミックつまり色々なインフルエンザが形を変えて大流行した時のことについて主に議論した。その時からH5N1が分かりやすく説明しやすいということで、それが中心になったけれど、あの対策会議の中ではかなりの幅を持って議論を行った。危機管理として最悪の想定が、H5N1が入ってきた時、それから過去にあったスペイン型インフルエンザが出た時を想定したもの。それでも不十分だという意見が随分あった。もう一方はかつて起きたパンデミックの中で比較的軽かったスペイン型、それでも通常のインフルエンザを超える被害があるので、それを想定の低い方に置いた。
専門家会議なので医学関係の人が多いけれど、地方衛生研究所、保健所、公衆衛生担当、学会の代表、病院の代表、医師会の代表、それからメディアの人も入っていた。それでワーキンググループを作って検討し、それでできた骨子案を私たちは厚生省に提出する形で、専門家会議案として出たわけだが、それが色々な省庁間の調整を経て、最終的に政府のものとなった。毒性が低い場合には役に立たないという意見もあるわけだが、骨子案の中には、行動計画においては適時適切に修正を行うこととなっているので、これを是非利用していただければと思う」
[西島]
もう一つの問題は、発生して治療薬としてのタミフルをどのように考えるか。年々予算を組んで備蓄を増やしてきた。今回の様々な意見の中で、タミフルは効かないのでないか、ワクチンも効果があるのかどうか分からないというのがある。この点について岡部参考人の所見を伺いたい。
[岡部]
薬もワクチンも100%の効果を期待するのは医学の世界ではありえないこと。そのうえで、いずれもある程度の効果は期待できると考えている。抗ウイルス薬には他にもリレンザというものがある。今回、幸いにウイルスが耐性遺伝子を持ったものではないということが分かり、国内で検出されたものについても同様であるので、効果は期待できる。ただし、基本的にインフルエンザは、治療しなくても治る人が多いということも事実。しかし早く快適になるという意味では、そこはお金の問題になるが、国民の健康という意味では十分に使う価値がある。ただ、たった2つの薬で行くよりは、手のうちはたくさんあった方がいいわけで、なるべく早く次の既に開発が行われている薬への承認や皆さんの合意が早く取れるシステムが必要と考える。
ワクチンに関しては、通常は健康な方に接種するもので効果が見えにくい。非常に効果のいいポリオや麻疹に比べるとインフルエンザのワクチンは70%位の効果と言われるけれど、しかしそこに一定の効果があり、かかってしまうよりはかからない方があらゆる面で得な面があるから、私は否定的でなく積極的に利用すべきものであると思う。ただし重ねて言えば、我が国はインフルエンザワクチンを生産できる数少ない国であるけれど、ワクチンそのものに関する(製造)環境は良くない。米国の10年前、20年前とは同様の体制だったが、その後、米国の方が2倍3倍のきちんとしたワクチンを国民に使用できるようになっている現状も背景にあると申し添える。
[西島]
秋以降に第二弾が来る可能性が言われているが、それについてどのように行動する計画になっているか。簡単に。
[岡部]
簡単に。第二波が来るものと考えて、次の想定をした方がよい。
[西島]
今後の総理としての決意を。
[麻生]
政府としていろいろな対応を検討しておかなければならないし、作られているものも今回の中でどこの所が現実論としてやってみた結果欠陥があるという場合には柔軟に修正して対応すると書いてあるので、十分に対応するようなものをあらかじめ検討しておく必要があると思っている。