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ニュース〜医療の今がわかる

「第二波に備えて想定し直しを」 政府側専門家の尾身・岡部両氏 ~参院予算委


[鈴木]
今の額では全く足らないし、恒常的に必要と申し上げたい。次に国立大学病院。25日にも文部大臣にご答弁いただいたが、大学病院の担っている重要な役割、特別な疾患、まれな疾患、未知な疾患に治療体制を提供したり、新薬を開発したり、そういうものは診療報酬ではカバーできない。だから運営費交付金が必要なのに当初の3分の1まで減らされている。これでどうやって新しい形のインフルエンザに対応するのか。先ほどの公立病院、そして大学病院、こうした所に抜本的に力を入れていくべきと思うが、いかがか。

[麻生]
国立と公立の病院が減少の傾向にあるのは間違いない。一方で、感染症の治療を例に引けば、感染症指定医療機関の数は大体横ばい。政府としては、21年度に感染症指定医療機関の施設整備費や運営費補助を行っており、その数を減らさないよう努力している。額が足りないというお話だが、いくら足りないのか我々として正確に把握しているわけでも理解してもいない。公立病院も、きちんと経営していかないといけない独立法人になっているので、そういった点も考えておかないといけない。新型インフルエンザ等々が変異して別モノになる可能性はあるわけで、感染症の治療などに影響が出ないよう配慮するのは当然のこと。引き続き医療機関整備に努めていかねばならぬと思っている。

[鈴木]
いくら足りないか分からないとの答弁だった。インフルエンザに関して、現状の予備まで含めた2万床でどの位の患者に対応できると考えているのか。

[上田]
H5N1の鳥インフルエンザが入ってきた場合の感染率は25%、死亡率が2%。数十万人が亡くなる状況になるので、2万床では足りないことになるが、その場合にはテントなど野戦病院式とか軽症の方に一時退院してもらうとか、そこをまず検討することが必要。今回のような死亡率が0.1%の場合は、軽症の方は自宅療養していただき一部の方だけ入院でベッド数は少なくても対応できる。10%を超えるような死亡が出た時は別の想定が必要。その辺をこれからさらに検討して必要数を割り出す必要があると考えている。

[鈴木]
ラチがあかないので私どもでシミュレーションしてみた。日本感染症学会の提言、こういう専門家の意見を素直に聴いて実現するための予算であったり人員であったりというところが我々の仕事のはず。で、提言によれば、テントはダメだがプレハブの仮設病棟で対応することはできるそうで、一番低く見積もって683億9千万円ぐらいあれば速やかに対応できると言われている。今回のインフルエンザでも厚生省の認識は甘いと思う。アメリカでは5%が入院し1%がICUに入っている。季節性インフルエンザは年に1000万人感染する。入院50万人、ICU10万人になるということ。それを今のお話では全く対応できない。他にもやらなきゃいけないことがある。

例えば血液の不活化というのがある。今、兵庫県と大阪府では献血が計画の58%しか集まってない。今献血をすると、その中にインフルエンザウイルスが入っているかもしれない。ウイルスを不活化しなければならない。そういう技術の導入について、既に田中康夫議員が質問している。しかし政府は全くやらずにサボっていた。あるいはインフルエンザの新しい薬、その承認を確実にやっていただく。タミフルの備蓄の予算も確保すべきだ。

今日一貫して議論してきた診断と相談と診療、これらについて今回の補正予算では項目がほとんど抜けている。これでは国民の生命が救えない。補正予算というのは、今回のような当初予算では想定し得なかった新型インフルエンザのような問題が起きた時のためのもの。基金というのも、こういう時のために使うもの。第二波がいつ来るか分からない。そのために用意できるものは用意しておいて、それ以外にも必要なもの、そのために基金を積んで、フェーズが上がってきたら直ちに導入する、それが基金の本来の使い方。

これは私どもが提案しているわけではない。感染症学会が言っていることを真摯に受け止めて、党派を超えてやりましょうという提案をさせていただいている。総理、財務大臣に指示していただき、無駄な予算を見直せば、こんな額はすぐ出てくる。直ちに予算の組み替えをするよう指示を出していただきたい。

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