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ニュース〜医療の今がわかる

「第二波に備えて想定し直しを」 政府側専門家の尾身・岡部両氏 ~参院予算委


[鈴木]
医師不足の中、大学病院から空港に行ってやってもらった。有限な医療資源の使い方として今後の糧としていただきたい。厚生省の内部でも、今回の水際対策については議論が必要と考えていた職員もいたと聞いている。そのように若手職員や現場の検疫官たちの疑問を持つ水際対策を強行されたという印象を持っている。木村参考人に、その背景をお話いただきたい。

[木村]
先ほど森兼参考人が、検疫がかなり縮小された、機内検疫がなくなったという話だったが、現場としては大して変わっていない。人的に今でもかなりの負担を強いられている。前置きはそれぐらいにして質問について。なぜ、ここまでの検疫偏重が起こったか、大きく分けて3点ある。

まず、主に成田空港でN95マスクやガウンを着けて検疫官が飛び回っている姿というのは、テレビを通じて国民に対してパフォーマンス的な共感を呼ぶ。そういうことに利用されたのでないかと疑っている。

次に、新しい感染症が入ってきた場合には検疫法が発動される。国内に入れない広めないようにしようというのが基本なので、そこだけやっていると国内に入ってからの問題が必ず疎かになる。国内に入ってからは感染症法になって主導が地方自治体になる。感染症法になってしまえば、国は通知を出して地方自治体やりなさいだけで終わってしまう危険性がある。感染症法で国内は他人にお任せとした厚労省の考え方があったのでないかと思っている。

第三に、今のインフルエンザ対策は行動計画に基づいて動いている。この行動計画には、厚労省の中にいる医系技官が深く関わっている。この医系技官の中で十分な議論や十分な情報の見直しや収集がされないまま、このような検疫偏重になったのでないかと思っている。

[鈴木]
検疫法の改正に着手すべきと民主党は考えているが、厚労省は検討に入っているのか。

[上田博三厚生労働省健康局長]
新型インフルエンザに対する検疫対応については昨年5月に法改正を行い、規定を整備したところ。現在も病原性や国内発生状況などを勘案しつつ対策を推進しており、現時点で法改正の必要性などについて議論するのは、今回の流行が終息していないこともあり、時期尚早と考える。

なお検疫法に規定する隔離・停留などの措置については、状況に応じて実施の要否を判断することができる。今般の新型インフルエンザは基礎疾患のある方々を除けば、その毒性は季節性インフルエンザと同程度であることが明らかになってきたことから、22日に検疫対応の見直しをしたところ。

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