慢性期医療への「質の評価」導入と、足並み揃わぬ中医協
[佐桝(さなぎ)進委員(独立行政法人国立病院機構関門医療センター院長)]
今日はこれからの大きな問題をここで議論していく内容だと認識しながら参加させて頂いた。そういう大きな問題でいけば、在宅の体制をどんなふうにつくりあげていくのかという問題が大きな視点にないといけない。今の議論を進めていくにあたってもどうなんだろうと。そこがないとまた噛み合わない。そこはどこでどんなふうに。基本問題小委とかそういうところでやっていくことなんだと思うのですけども、何を前提にしながら在宅のところを議論するのか、その辺がどうなっているのかを情報頂ければありがたいのですけども。
[池上分科会長]
事務局のお考えをどうぞ。
[事務局]
在宅に関しては通常であれば、政策的には在宅推進ということで医政局が担っておりますけど、在宅に関してはさまざまな政策との連携もありまして、かなり各局横断的な話になると思います。診療報酬ということでございますと、改定への要望を関係学会から受け付けることをしておりまして、今回はそれで中医協の医療技術評価分科会で在宅の技術的なこういうことをできるようにしてほしいというレベルの要望、学会レベルのご要望をこなすことがございます。ただし、連携とかそいう部分については基本問題小委で議論して頂くのが今の流れでございます。
[池上分科会長]
よろしいでしょうか。
[佐桝委員]
在宅の話になってくるとあるべき論がまずあって、ところがなかなか定着していかないという問題が出てくる。そこから一歩も進まないのがいかがなものかと思っていた。私自身は急性期病院で、慢性期に送るだけでなく在宅の整備をしっかりしていかないとこの高齢化社会は乗り越えられないなと思っていたものですからね。そういう意味では技術的な評価、在宅はどこまでできるかという技術的評価も非常に重要だと思うのですが、制度的な問題も含めて誘導していく必要がある気がちょっとしていたのですけども、その状況などもここにちょっと入れて頂いて議論していただけるとありがたいです。
[武久委員]
佐桝委員が仰ったことは、日医としては三上先生がいらっしゃいますから在宅療養支援診療所のことに関しても非常にお詳しいことと思います。この会をエクスパンションして局を横断するようなものにしようと思うとlこれまた大変な問題ですので、とりあえずこの中で立場を代表した委員がいらっしゃると思いますので、池上分科会長の下でそういう検討をこの会としてやるということで提案したいと思います。
[池上分科会長]
ありがとうございます。この分科会の名称は慢性期入院医療の包括医療ということでございますので、入院医療ということに限定されるんではないかと思います。ただ、その入院医療に限定した場合でも、ご指摘にあったように一般病床にも慢性期の患者は入院していますので、その対応はどうするかということ。これはこの分科会のマターなのかどうかということを、まず基本小委にご判断いただかないといけないと思います。慢性期入院医療といいますと、まだ介護保険の療養病床があるわけで、これも入院ですけど、包括評価という診療報酬の枠組みからしますと、それは外れる可能性もある。介護保険における単位を決めるとかどうするかということはこの分科会のマターでないことは確かですけど、補完関係が本来あることを前提に始まった包括評価導入でありますので、関心事ではあることではないかと。関心事をさらに広げると介護保険の各施設、特定施設など、形式には在宅に区分されるところも関心事にだんだんだ広がってまいります。しかし、慢性期の入院医療だけでもですね、療養病床以外のところもございますし、精神病床も広く言えば慢性期になりまして、認知症の患者の場合にも関連してきますので基本小委の方でこの枠組みをどう設定するかということもご判断いただく必要があるんではないかと思います。先ほどの分科会の今後の中長期的検討課題の中で、それを含めて私の分科会長としての個人的な見解を述べたまででございまして、その他のご意見も委員の方におありかもしれませんが、整理しますとそういう点ではないかと思いますので、ぜひご意見、付託事項の整理をしていただければと思います。今申し上げたような整理以外に何か他の切り口がありましたらぜひこの際仰っていただければと思いますが。
[高木分科会長代理]
佐桝先生のご指摘は重要だと思うんですね。そもそもADLと医療区分の「区分」という方法は、今会長が話したように、とりあえず入院施設。前回の診療報酬で退院調整の話が出て、ADLと医療区分のアセスメントツールを今度は在宅に持って行ってやるべきだと私は思う。生活部分に来たら介護にもいくと。できれば一連のツールとしてみんなが使えるようなものを目指したいというのが個人的な考えです。そうしないとみんなぶつ切りで、慢性期、急性期は、入院は、外来は、と20年度でも後期高齢者のかかりつけ医の議論がぐちゃぐちゃになっていますけど、どこかでこういう連続するツールで現場も供給者も使えるようなもので構築するものではないかという身で私はおります。