文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

慢性期医療への「質の評価」導入と、足並み揃わぬ中医協


 
[池上分科会長]
ありがとうございます。
 
[高木安雄分科会長代理(慶応義塾大大学院教授)]
今の椎名先生、それから三上先生の話、現場の方々の話を聞いていてやっぱりもう一回原点を確認しないと動かないなと思う。先ほど「食い逃げされた」という話が出ましたけども、この委員会が始まる時に、私は覚えていますが、要するに「慢性期」を広く取ろうと。できれば老健も介護保険施設も、片方で一般病床も広く取ってその中で「慢性期」の議論をしましょう、ということから始まってそれが療養に狭められて、しかも先ほどの議論を聞いていても医療区分とADL区分についても、医療区分ばかりが議論されて、ADL区分もっと議論してほしいと思う。制度が2回の改定を経てマーケットがかなり変わっているし、しかも政府も介護療養廃止という慢性期の市場を変えるようなすごい政策を出しましたので、今回の区分だけを議論していても動かないんじゃないかという気が私はしています。平成20年度の調査を次回には出すと言っていますけども、多分従来の流れの中での比較はできますけども、マーケット全体を俯瞰した時の医療療養の役割とか、そういうものも踏まえないと読み取れない気がします。しかも、決定的だと僕は思うが、現場が今回の医療区分のやり方にすごい不信感を持っているというのは慢性期の診療報酬を考える上で、調査専門組織としては調査をしようにもやりづらいわけですよね。僕らも調査する時に現場とのラポールというのは結構重要ですので、これだけあちこちから不満が出てきたので、調査専門組織を従来の方向でいくというのは結構しんどいなと、私は今までの議論を聞いていて思う。事務局も基本小委も含めてこの組織の今後の運営の仕方、調査のやり方も検討してほしいと思う。
 
[池上分科会長]
ありがとうございます。そう言うご要望がありましたけども、対応はいかがでございますでしょうか。
 
[事務局]
検討させて頂きます。
 
[池上分科会長]
他にご意見ございますでしょうか。
それでは、まず今後のこととして、平成20年度の調査の結果というのは、少なくともこのような調査が適切であったかどうか、十分であったかどうかは別として、まずはその報告を伺う必要があると思いますけど、それはいつ頃までにご報告いただけるのでしょうか。
 
[事務局]
先ほど色々分科会の先生方のご意見承っていますと、まず基本問題小委での課題設定が必要ではないかというご指摘があったというところで、その手続きを事務局で検討させて頂くと。それと並行してということでしょうか。スケジュールとしては次回にはデータとしてご提示する予定ではございましたけども。
 
[池上分科会長]
その手続き的に、基本小委に戻ってこの分科会として付託される範囲などについて確認いただいた上で、この次回の分科会を開くか。それともそれはそれでやることを検討していただくが、並行してこの平成20年度の調査結果を次回の分科会で報告して頂くと同時に、関連の報告を次回にしていただくかと。いずれかの選択があるかと思うのですが。
 
[事務局]
池上会長に整理して頂きまして、提案が事務局からございます。いずれの範囲を検討して頂くにせよ、今回のデータは少なくとも部分になるか全体になるかは別として、必ず見て頂かないといけないデータであることは間違いないと思っております。その意味では、我々が準備しておりますので、そのデータについては提示してご議論いただいて、範囲の設定については中医協のスケジュールとの関係もございます。事務局の考えとしては、いずれにせよ検討いただく範囲に属するデータと思われますので、検討いただく範囲が決まったにせよ見て頂くというか、どういう状況であるかは(調査結果を)準備しておりますので見て頂ければと思っております。
 
入院基本料見直し.JPGのサムネール画像
患者分類ごとのコスト調査.JPGのサムネール画像
[三上委員]
ちょっと質問なんですけど、資料1の調査の結果をまとめて頂いているんですがコスト調査で図表の26ページに表32-34まであるが、その収支差がマイナスであるにもかかわらず資料に2にあるように20年度改定ではADL区分1以外はすべて引き下げたということは、このコスト調査を踏まえて引き下げたということと解釈していいですか。前回の18年度の診療報酬での差額としてマイナス2885円から4224円の医療区分1をさらに引き下げて2995円から4364円マイナスになるように764袁と-750点に引き下げたという改定をされたというふうに解釈できるんでしょうか。(左の図参照)
 
[事務局]
これは先ほど診療報酬の資料2でご説明いたしましたが、点数自体の見直しは今回の分科会の調査だけではなく、医療経済実態調査の結果ということも踏まえて設定しております。具体的に申しますと、療養病棟を有する医療機関の経営実態が医療経営実態調査に出てきたのでございますけども、医療経済実態調査の結果から見ますと、一般病院に比べていわゆる収支差額としてはプラス、大きかったということがございました。それを踏まえまして、点数自体は引き下げを行ったということでございます。
 
[三上委員]
ということは、その医療経済実態調査を踏まえて報酬改定をするということで、慢性期のコスト調査は参考にしないということですね。
 
[事務局]
参考にしないということではございませんで、各区分の妥当性の調査結果も使ってますと同時に、傾斜と申しますか、区分ごとの点数の傾斜の検討には使っておるということだと思います。
 
[三上委員]
この18年の報告書の中にもいろんな意見があってですね。見ておりますと、療養病床への入院対象にふさわしい患者像として図表が15ページにあるが、経口摂取困難が79.8%と、結構多いわけですね。実際に特養等に調査しても、やはり胃ろう等の人で非常に困っているのがありますので、こういったものが改定の中で評価されて区分の見直し等に反映されていないというのがちょっと気がかかりなんですけども、今回やる調査についてはそういったことについての見直しについて、こういったものが参考にされることを前提にやるということでいいんでしょうか。
 
[事務局]
図表22は14ページから続いておりまして、患者分類に対する病院長への調査ということでございましてどちらかというとアンケートに近い内容です。今後、今実施しております調査で、データとして例えば区分などの見直しに必要であるというデータが出てきましたら、それは分科会の検討結果を踏まえて中医協にご報告させて頂くと思います。
  
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス