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慢性期医療への「質の評価」導入と、足並み揃わぬ中医協


 
 事務局が08年度報酬改定前に実施された「2006年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査」の内容と、慢性期医療に関する08年度診療報酬改定の結果を述べた。その後、08年度の調査を実施したことも報告した。

 事務局となる保険局医療課の佐々木健課長補佐は調査結果について、「今後この慢性期分科会に提出させて頂き、ご議論の材料とさせて頂く予定でございます」と述べた。
 
 以降の、委員の発言内容は次の通り。
  
■「慢性期」の範囲に関する意見交換内容
 
[三上委員]
久しぶりにこの慢性期入院医療評価の文化会が開催されたのだが、基本的には診療報酬調査専門組織ということで、診療報酬改定とリンクした形でやるということ。ただ(平成)16年から始まったこの分科会は、当時はあまりリンクせず、医療区分だけを真面目に分類したということ。今回の18年度、20年度改定を踏まえて、診療報酬点数とこの分類の在り方についての問題が大きいんだということ。医療難民や介護難民の問題が出ているし、療養病床再編に伴ってそういう形のものが顕在化している中で、点数と区分の問題をどのように考えるのか。例えば、今の点数の枠組みの中で難民を出さないために区分を変えていくのか、ということと、区分は区分で別にして、今療養病床にいる患者さん以外にも特養でも重度化しているが、そういったところの入所者をそこでは診れないということで療養病床、あるいは介護療養におられる方を医療療養で受けられるように区分を変えていくのか。そういうことを前提に議論していただきたい。前回の療養病床再編の問題の時には、2月20日付の朝日新聞の記事にもあったように、政治的意図で医療区分1と医療区分2の30%の人を退院させるというか、赤字になる形にしてそこを削減することを目標に作られたと書かれているし、17年11月12月に開催されている中医協資料でも、それまで出てきた調査の資料が、「医療の指示の変更はない」ということが「医療の必要がない」と書き換えられたり、「医学管理が一定は要るが病態の変化が少ない」が「在宅や福祉施設で対応は可能」と言い換えられたような図表で説明された。療養病床に入院されている患者さんの半数が在宅でもできるという"情報操作"と言うと言い過ぎだが、そういう流れの中で点数が決められた経緯がある。今回は介護療養病床が廃止になる。介護保険から給付されないことを前提に、そういったところにおられる患者さんが難民にならず、在宅で苦労されないということが前提だと思うので、診療報酬の点数を変えるということを前提にやるのか、あるいは今の枠組みの中で難民を作らないために区分を作るのか、ということを聞きたい。
 
[池上分科会長]
点数の改定を議論するか、分類改定を議論をするかということ。点数が変わらないということを前提に、区分を変更するのかということで、これについて事務局はいかがでしょうか。
 
[事務局・佐々木課長補佐]
前回の改定の際も同様のお尋ねはございまして、基本問題小委と慢性期分科会の役割分担というところもあるかと思います。基本的に療養病棟入院基本料の点数を何点にするかというのは小委の事項で、点数を何点にするかということ。医療区分の必要性や妥当性、ADL区分の妥当性について、包括医療療養病棟の調査結果を分析して検討して頂くということが、慢性期分科会の役割と理解しています。
 
三上委員.jpg[三上委員]
そういうことは分かるんですけども、特養とか様々なところで視察して担当者のご意見を聞くと、かなり重度化していることが問題。要介護度も、特養でも4、3とか、4を超えている。老健でもそう。医療の必要な人たちを介護職や医療職のいない施設で診なければならない状態になっているのは大きな問題。厚労省の中でも、特養の中の医療行為を介護者に、また訪問介護者に医療行為をさせようということが話し合われている。そういう方は基本的に医療のある施設やサービスの中で診ていくのだということであれば、そういう人たちがどれぐらいいるということを考えて、医療区分も喀痰吸引が8回以上が医療区分2だが、夜間にヘルパーにそういう医療行為をさせるということがないように、そういう人は医療療養で引き受けられるよう医療区分としてやっていくのか、経管栄養の人を医療区分を引き上げてそういうところで療養できるようにするのか。そういうことを含めて考えていただきたいということ。
  

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