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ニュース〜医療の今がわかる

慢性期医療への「質の評価」導入と、足並み揃わぬ中医協


  
[武久委員]
まず椎名委員から出たが、慢性期の患者がどこに入院しているかと考えると、普通に考えたら医療療養か介護療養になると思うんだが、一般病床に90日以上入院すると「特定患者」になるが、その「特定除外」という特典を利用しながら一般病床の中で実質的に脳卒中や認知症の患者が非常に長期に入院していると。状態像としては現在の医療療養の患者さんよりかなり低い患者さんもいるので、こういう人は平均在院日数に入らないからといって抜けてしまうと、各委員が言ったように医療療養だけのことを話し合うのではなく、慢性期(分科会)と書いてある以上、ポストアキュート、慢性期の患者を診ているところはすべて関連するだろうし、入っている患者はここである程度の議論をしないと、病態は変わらない患者さんを違う診療報酬体系で評価することは非常に不公平だと思う。少なくともその辺りの整理をしていただきたい。折しも昨年10月に社会保障国民会議で将来の医療提供予想図のようなものが出ましたが、一般病床という名前はなくなって「急性期」「慢性期」「その間」となっている。そういう方向を厚労省や政府が打ち出してきている以上、そういう方向で考えて一般病床、療養にいようと。慢性期の患者さんはポストアキュートだから一括して、同じような土俵で検討していくようにするということにするのが公平だと思う。
  
[池上分科会長]
他、どうぞ。
  
[三上委員]
一般病床にもたくさん慢性期の方はいらっしゃるわけですけども、基本的にはその慢性期の病院だけでなくその他の介護施設や在宅にもたくさんおられる。本来療養病床で療養して頂く方はたくさんおられるし、今後もっと増えると。高齢者の数が増えるということは人口動態ではっきり分かっているわけで、2025年には倍増するということも分かっている。なおかつその上で、世帯構造変化の中、人口構造の中では現役世代が半減するということで、独居や老老介護の方も非常に増える。家族の介護力や看護力はあまり期待ができないという状態がこれから進むという事が非常に大きな環境の変化だと思う。あと3年後には介護療養がなくなって、そこにおられる方が医療療養か転換老健に行かれるか分からないが、どこかで療養しないといけない。本当に医療の必要な人達がどれぐらいいるのかをまず調査していただいて、医療療養でそういう人を診るということであればどの程度のベッド数が要るかということをまず試算していただいてそれを吸収できる受け皿となれるだけの条件を決めていくことが大切になるのではと思う。18年度改定は15万床に療養病床を減らすんだということで医療区分1については赤字になるような800、700点台の診療報酬が付いて、(配布資料の)最後にも出ているが、毎日3000、4000円赤字になるような点数にして、医療機関がそこから撤退していくという点数に使われた。今回事前レクでも事務局の方に「調査するということだけども、この調査が病床削減をするために利用されるのではなくて、(医療の)必要な方が必要なところで療養できるようにする調査なら協力できる」ということは申し上げているが、その辺のことを確認して頂きたいと。
   
[事務局]
調査のお話が出ていますが、資料4でもやっているのは、今年の調査です。対象としましては、療養病棟の入院基本料、有床診療所の療養病棟入院基本料が算定されているところを対象に、20年度調査を実施している。このデータは基本的に前回や前々回の議論に使っていただきまして、区分や16年度改定から導入している区分の妥当性、前回も実施しておりますが、必要に応じて区分の内容の見直しということについて、このデータから出てくるところは議論していただく。先程来、ご指摘ありますように急性期の病院の入院日数が短縮していると。それをデータによって療養病棟に入院しておられる患者さんの病状に変化があるということであれば、それに応じた評価ということについて、そのこの場で何点にするということを議論して頂くという役割はないと思いますが、基本問題小委にデータを上げて議論して頂くと理解しています。
 
[三上委員]
それでいいんですけど、基本的には医療区分を見て、中におられる方の医療区分やADL区分を見て患者さんを分類していくわけですが、分類された方がそこにおられないような形にしないということを前提に分類していくと、750点という点数を付けられる方がその分類に入るということに非常に違和感を感じますし、それを前提に議論するのであれば分類したくない気がいたします。
もう一つ、日本医師会としても療養病床の患者調査をいたしまして、厚労省は医療区分1は医療は必要ないと言われたわけですけども、医療区分1の中でも、医療処置や医療が必要で退院できない方が少なくとも20%はいるというデータが出ている。そういう方については、必ず療養病床の運営上赤字にならない点数設定にするということを前提に議論できないかと思うのだが、事務局のお考えを聞きたい。
 
[事務局]
今ディスカッションして頂いている内容について、最終的には点数設定は基本問題小委ということになる。例えば、データとかに基づいて、この検討会で参考になるような資料を各委員がもしお持ちでしたら、ご提示して頂ければと思います。
 
[武久委員]
今三上委員が仰ったよう、医療区分1は50%を当初想定されていたが、医療区分2、3以外が1ということになっているのであまりに大雑把。日本慢性期医療協会として重度から軽度まで5段階に分けて調査をした。そうすると、18年と20年で調べると、「1」は23.6-22.4%しか下がっていなかったが、「1の5」という非常に重度な方、重度意識障害ジャパンコーマスケール300とか、がん末期の方とか、そういう医療区分1の中で1番重い「1の5」という方が2年間で41%も増えている。区分1自身はそんなに変わっていないけど、その中の重度の患者さんが5割近く増えているということが分かった。この資料は次回に、この2年間の慢性期病院から集まった独自調査の結果としてまたご報告させて頂くけども、そのような傾向がございます。したがって、患者分類による医療区分をリーガルに妥当に直そうと思うと、とてつもない労力がいると思うので、その辺のところは事務局がどうお考えか分からないが、そのようないろんなディスクレパンシーみたいなものが生じていること自体はご理解いただけたらと発言させて頂いた。
  
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