厚労省を質問攻めにする嘉山委員 ─ 11月6日の中医協で
■ 厚労省を悩ませる「4つの質問」
[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
4つほど質問させていただきたい。これは医師としての立場と国民としての立場で、「不思議だなあ」と思うことがあるので質問させていただきます。
まず、(参考)資料の1枚目(基本診療料)の中の「入院基本料」について。これは、(大学医学部を所管する)文部科学省であれば、何か予算を組むときに積算してお金を決める。これは、遠藤会長も大学の教授ですから、お分かりだと思う。
(資料によると)この入院基本料の中身が、「病棟の種別、看護配置、平均在院日数等」になっている。医療がピンチな状態にある中で、これはドクターフィーとも関係するが、医師の技術料が(入院基本料に)入っているのか、「等」と書いてあるので分からない。どういう積算原則を使っているのか、教えていただきたいというのが1つ。
▼ 資料には、入院基本料の説明として次のような記載がある。「入院の際に行われる基本的な医学管理、看護、療養環境の提供を含む一連の費用を評価したもの。簡単な検査、処置等の費用を含み、病棟の種別、看護配置、平均在院日数等により区分されている」とした上で、一般病棟入院基本料の点数を列挙。「なお、療養病床の入院基本料については、その他の入院基本料の範囲に加え、検査、投薬、注射及び簡単な処置等の費用が含まれている」
それから2番目の質問はですね、(参考資料)グラフの6です。「医療費の動向」として、病院が4.8兆円(39%)、診療所が7.6兆円(61%)と書いてある。これを見ると、何となく開業医の先生のほうが(医療費)をたくさん使っているように見えるんですが......。
こういうこと(グラフ)も必要ですが、ほかに「内科系はどうか」とか、「外科系ではどれぐらい入院料が掛かっているんだ」とか、それを出すことが今の医療現場を救うデータになりますので、(病院と診療所という比較以外に)そういう切り口はないのかどうか。 (事務局が相談を始める)
それから、病院と診療所を分けてもあまり意味はない。なぜかって言うと、地域の医療連携で、勤務医がいて開業医がいる。開業医がいて、勤務医がいるということで連携をやっていますので、どちらかを削るかどうかという議論に、こういうグラフを使うべきではないんじゃないかと思います。
その中で、(病院)4.8兆円、診療所(7.6兆円)と書いてありますが、救急などでは、病院の中でなかなか医療費が見えないところがあります。例えば、全身やけどの患者さんに使うガーゼとか点滴のチューブなんていうのは、救急をやればやるほど赤字になる。その原因は、点数表の項目のために赤字になっているんじゃないかと思いますので、そこの中身を見せていただきたいと思います。
それから4番目の質問なんですが、(外来管理加算の)「5分間ルール」というのができたのを知って、私はびっくりしたんです。外来のルールですよね......。
患者さんという人間を相手にしているので、外来で話をするわけですが、それを時間で制限するというのは何となく患者さんをバカにしているか、国民をバカにしているのかという感じがして、「このルールは何とかならないのか」という感じがしていますので、教えていただきたい。
例えば、私が良性の脳腫瘍を手術して、(再診で)患者さんが何を聞きに来るかというと、再発があるかどうかだけを聞きに来るんですよ。「元気でやっていいよ」というのに30秒もかかりません。信頼関係があれば。
ところが、初めての患者さんは30分とか40分かかる場合もあります。人間を相手にしているわけですから、「5分間」という人頭税のような概念を持ってくるのは非常に非人道的な気がするんですが、いかがでしょうか。この4つをちょっと教えていただきたいと思います。
【目次】
P2 → 厚労省を悩ませる「4つの質問」
P3 → 「佐藤君が答えた通り、医療崩壊を招いたのはそこ」 ─ 嘉山委員
P4 → 「DPCをやめるんですね?」 ─ 嘉山委員
P5 → 「私自身も時間で縛るのはいかがかと思います」 ─ 支払側委員
P6 → 無診投薬は、未受診投薬要請」 ─ 安達委員
P7 → 「5分ルールで大混乱」 ─ 嘉山委員