急性期病院の機能評価、迷走再び
■ 「アンケートを提案した理由は2つ」 ─ 厚労省
[保険局医療課・迫井正深企画官]
少し、議論の前提を整理したい。事務局(保険局医療課)で(病院職員への)「アンケート」という形を提案した理由はいくつかある。
まず、(今回導入した新たな機能評価)係数は、財源見合いで設定した数字なので、今年度と来年度しか意味をなさない。従って、「効率性指数」や「複雑性指数」などの数値自体は、その時その時の計算で定義が可能。しかし、係数自体はその年度でしか意味をなさない。これが1点。
2点目は、カラーのポンチ絵をご覧いただきながら理由をご説明したい。「新機能評価係数Ⅱを導入したことに伴う影響」という意味にはいくつかある。
① 係数の導入により数値が公表されて各施設がベンチマーキングできるので、
他の施設とどう違うのか、診療行動の変化を知りうる参考値が得られたという意味と、
② 係数が診療報酬に反映され、収入が変化したという意味と、
2つの意味があると理解している。そういう意味で見ると、
・ 「救急医療係数」は設定した経緯から、コスト(保証)とのリンクが一定程度ある。
・ 「複雑性係数」や「カバー率係数」
→ コストとの関連性が薄い。強いて言えば、インセンティブの意味合いがある。
・ 「効率性係数」も同様。
・ 「データ提出係数」 → コストとインセンティブの両方が混ざっている。
ですから、「影響を評価する」という意味には2種類ある。
今回、「新機能評価係数Ⅱ」を導入したばかりの段階で、こういったことをひも解くのは難しかろう。そういったことで、診療行動の変化ぐらいは医療従事者にお聞きすることが可能かな、これは最低限できるのではないかな、ということでご提案した。事務局(医療課)からは以上。(中略)
▼ この後、池上委員が「アンケートでポジティブな評価が得られなかった場合には(係数の)改善もあり得る」と発言した。データ分析の話なのか、アンケートの話なのか整理されないまま会議はシラケ気味。委員の多くは資料をじっと見つめて沈黙している。開始から30分、時計の針はもうすぐ14時30分を指す。眠い時間帯なのか、テンションが上がらない。事務局席には、中医協の遠藤会長のほか、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)、邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)の姿がある。いつもはオブザーバーとして邉見委員だけが傍聴に来ているが、中医協総会の委員が3人もDPC評価分科会に来るのは異例ではないか。
【目次】
P2 → 厚労省の説明① ─ 調査の目的
P3 → 厚労省の説明② ─ H21調査の再集計
P4 → 厚労省の説明③ ─ H22調査
P5 → 「様式1のデータも調査すべき」 ─ 池上委員
P6 → 「平成21年と22年のデータを比較できるか」 ─ 酒巻委員
P7 → 「アンケートを提案した理由は2つ」 ─ 厚労省
P8 → 「評価が得られなければ改善もあり得る」 ─ 池上委員
P9 → 「医療圏によって違ってくるのではないか」 ─ 金田委員
P10 → 「影響の評価とは、どういうことを見るのか」 ─ 小山会長代理
P11 → 「今後、導入を検討する項目案は出ていない」 ─ 厚労省
P12 → 「今あるデータを整理する作業がまず必要」 ─ 松田委員
P13 → 「アンケート調査か、データ分析か」 ─ 小山会長代理
P14 → 迷走は続く