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ニュース〜医療の今がわかる

勤務医の負担軽減と患者の受診抑制

■ 「中医協としてすべて承認する」 ─ 遠藤会長


[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 (15分休憩後)定刻になりましたので、ただ今より第188回・中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。(中略)まず、委員の選任についてご報告いたします。

 (公益委員の)白石小百合委員(横浜市立大国際総合科学部教授)が退任されまして、新たに西村万里子委員(明治学院大学法学部教授)が発令されています。

 また、住友雅人専門委員(日本歯科大学生命歯学部教授・学部長)が退任されまして、新たに佐藤田鶴子専門委員(日本歯科大学生命歯学部教授)が発令されております。

 ▼ 新しい委員名簿はこちら

 なお、事務局(保険局医療課)より、今回発令されました委員、専門委員からは自らが公務員であり、高い倫理を保って行動する旨の宣誓を頂いている旨の報告を受けております。(中略)

 ▼ ちょっと知ったかぶりをすると、国の最高法規である日本国憲法15条2項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めている。また同99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定しており、同条に「国民」は含まれていない。
 なお、医療や介護、福祉に関する国の審議会では、"御用学者"らが「自分のことは自分でやりなさい」という意見を大合唱することがある。ほかに、「家族の協力」「地域で支える」「ボランティアの活用」など様々なバリエーションがあるが、言いたいことは同じ。
 こうした考え方を病院勤務医の過重労働問題に当てはめると、「長時間労働を放置する病院経営者が悪い」とか、「安易に受診する患者が医療を崩壊させている」という方向に論点がそらされ、医療を所管する厚生労働省が高みの見物を決め込むことにつながる恐れもある。

 次に、(公益委員である)西村委員の所属、小委員会、部会についてでございますけれども......。

 西村委員には、当面は前任の白石前委員の所属しておられました(診療報酬改定について審議する)基本問題小委員会、(診療報酬改定の基礎資料をつくる)調査実施小委員会、(カテーテルなど材料価格のルールを審議する)保険医療材料専門部会、(診療報酬改定の影響を調査する)診療報酬改定結果検証部会......の部会、小委員会に所属していただきたいと思います。(中略)

 ▼ こんなにたくさん? 繰り返しになるが、西村氏は法学部の教授である。

 ただ今、私が申し上げた内容で指名するということとしてよろしいかどうか、皆様のご承認を頂きたいと思いますけれど、よろしゅうございますか?

 ▼ 「異議なし」との声あり。「法学部教授が議論に参加できるのか」などと心配する声はない。

 はい、ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 ▼ 公益委員は黙って座っていることが多い。議事の進行上、何ら支障はない。

 それでは、議事に移らせていただきます。医薬品の薬価収載について、それからDPCにおける高額な新規の医薬品への対応について、2つを一括して議論したいと思います。(中略)

 ▼ 資料はこちら。医薬品の議題だけで1時間25分も浪費した。昨年4月の改定後、診療側から医療政策に関する具体的な提言はなく、とにかく薬の話題に時間をかける。傍聴している業界メディアの多くが医薬品関連なので、発言した内容が記事に反映されるというメリットはある。それを意識しているかどうかは分からないが......。次期改定に向け、診療側の統一見解がまだ煮詰まっていないのかもしれない。

 それでは、本件については中医協としてすべて承認するということにさせていただきたいと思います。(中医協・薬価算定組織の)長瀬委員長におかれましては、本当に長い間ありがとうございました。
 

【目次】
 P2 → 「事務局、それでよろしいでしょうか?」 ─ 牛丸部会長
 P3 → 「中医協としてすべて承認する」 ─ 遠藤会長
 P4 → 「私に預からせていただければ」 ─ 遠藤会長
 P5 → 「最も負担が重いと感じる業務は当直」 ─ 厚労省
 P6 → 「シフト等の勤務体制で軽減できるか検討」 ─ 厚労省
 P7 → 「たくさん医師がいないとできない」 ─ 日医
 P8 → 「こんな病院、日本にあるわけないじゃないか」 ─ 嘉山委員
 P9 → 「我々も若いころは鍛えられた」 ─ 経団連

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