勤務医の負担軽減と患者の受診抑制
■ 「私に預からせていただければ」 ─ 遠藤会長
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
それでは続きまして、(診療報酬改定の基礎資料にする)「医療経済実態調査」について議題といたします。(中略)
▼ 資料はこちら。中医協開始からもうすぐ2時間半になる。映画が一本観られるぐらい時間をかけているが、適当にガス抜きをして厚労省案がそのまま承認されるだけ。こんな会議になぜ大行列ができるのかと思うが、新薬の値段などが正式に決まるので製薬企業の担当者は傍聴せざるを得ないのだろう。医薬品の議題が終わったので席を立つ人もいる。ギュウギュウ詰めの座席がちょっと空いた。
「医療経済実態調査」につきましては、「医療機関等調査」および「保険者調査」の調査設計につきましては、(中医協の)調査実施小委員会において、おおむね合意ができております。
その中身につきまして、私、小委員長も兼ねておるもんですから、簡単にご報告させていただきたいと思います。(中略)
▼ 会長の説明後、厚労省の説明、質疑と移り、大した中身のない意見交換で40分が経過した。中医協の前夜に厚労省担当者と打ち合わせをする「事前レク」で十分に練っておいてくださいと言いたい。診療側委員は、表舞台で議論すべきこと、事前に調整しておくべきことなどを仕分けすることから始めてみてはどうだろうか。
ありがとうございました。他によろしゅうございますか? それでは、(色々と意見は出たものの)基本的には(厚労省がお示しした)このような方向で今回の調査を進めさせていただきたいと思います。
色々ご指摘ありました所、(「鍋という表現は古い」など)文言の修正等々もございますので、その辺につきましては、私に預からせていただければと存じますので、よろしくお願いいたします。
それでは、このやり方については、中医協として承認するということにさせていただきたいと思います。事務局(保険局医療課)は、そういうことで作業を進めていただきたいと思います。(中略)
▼ 他の審議会でもよくあるが、文言の微修正をする場合や、議論がまとまらない場合などは「座長一任」という逃げ道がある。今回は「微修正」のケースだが、許し難いのは後者のケース。毎回欠かさず熱心に取材していても、最終回で「私に預からせていただきますでしょうか?」が飛び出し、密室で報告書をまとめちゃう。もちろん、役人が都合のいいように書いてシャンシャン。
中医協は「合意形成」が建前なので、後者の手段はあまり使わない。「今後さらに議論を続けたい」と何度も引き延ばし、忘れたころにスッと出してまとめてしまうとか、時間切れに持ち込んで"抑え込み一本"というパターンが多い。どうしてもまとまらない場合には、公益委員が最終決定を下す「公益裁定」という武器も厚労省は持っている。
【目次】
P2 → 「事務局、それでよろしいでしょうか?」 ─ 牛丸部会長
P3 → 「中医協としてすべて承認する」 ─ 遠藤会長
P4 → 「私に預からせていただければ」 ─ 遠藤会長
P5 → 「最も負担が重いと感じる業務は当直」 ─ 厚労省
P6 → 「シフト等の勤務体制で軽減できるか検討」 ─ 厚労省
P7 → 「たくさん医師がいないとできない」 ─ 日医
P8 → 「こんな病院、日本にあるわけないじゃないか」 ─ 嘉山委員
P9 → 「我々も若いころは鍛えられた」 ─ 経団連