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ニュース〜医療の今がわかる

「大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか―被災地からのレポート」 ①

■ 石井美恵子氏(日本看護協会)②
 

 今はですね、非常にマンパワーが分散しているんですね。各避難所に要介護の人が1人、2人だとしても、でもそこにも介護士や看護師が必要だということになってしまいます。そこにも巡回チームが必要だということになってしまう。

 それを何とか集約化できないかということと、あとはそれら担当者の固定化ができないかということを今、一生懸命支援しておりますが......。

 本当に難しいです。何一つ動いていかないです。何回サーベイをしても、その先に全く進んでいかない。毎週ローラー作戦をして要介護者を洗い出すんですけれども、結局そのまま動かないですね。これはどこに何が問題があるのか......。

 ということが、私の中では大きな疑問でしたけれども、行政機関の方々も疲弊しているということと、あまりにも甚大な被害なので目の前の問題に対処しているので、組織だったチームとしての活動ができないでいるということがよく見えてきました。

 昨日......、ちょっと急きょ、2日間だけで派遣から戻ってきたんですけれども、何をしに行ったかと言うと、市役所の中に入って、横のつながり、情報の共有ができていないことですとか......。

 あと、ミーティングの進め方の問題点ですね。不確かな情報に引っ張られてしまったりとかですね、ある一定の強引なパワーに押されたりとかですね、そういったミーティングの仕方をコーディネートしたりとか、そういった支援なども行っております。(中略)

 もう1つ問題です。セーフティーです。周囲をがれきに囲まれた小中学校がいまだに避難所になっております。1か月以内に9レベルの地震がまた起きるかもしれないという予測、津波が起きるかもしれないという予測が出ています。ですが、そこが避難所です。

 これはなぜなのかと思うんですけれども、日本の法律では強制退去ですとか、集団避難、立ち入り禁止区域の設定、そういったことができないそうです。そのまま住民の要望に従い、そこに居たいという要望に従い、そこにいる。

 けれども、その人たちはいまだに......、1か月経ったいまだにですよ、1個のクロワッサンとおにぎりとみそ汁と缶詰。1か月経ってもなおこの生活です。

 これはご本人の承諾を昨日得てきましたので、ここでプレゼンさせていただきますけれども、私はスマトラのときにスリランカで一緒に活動した医師が今、国連で働いております。

 彼が急きょ日本に帰国いたしまして何をしているかと言うと、ユニセフから5万食の食料を調達しようとしています。先進国日本です。ユニセフから食料を頂くような事態になっております。このことを私たち日本人は1人ひとりが認識しないと、被災地の人たちの栄養状態の改善、合併症の改善ということがはかられていかないだろうと思いますし......。

 まあ、今日はこういう場ですのでぜひお願いしたいのはですね、マスコミの方々にもぜひ......、ちょっと......、「福島の陰に隠れてしまっているな」という印象が実はございまして、ぜひそういった状況にあるということをご認識いただければありがたいなと思います。

 そして救援者として二次災害を起こさない。自分たちが死んではいけないという鉄則があるのですが、あまりの困窮さにですね、ちょっと危険な地域であっても支援し続けなければならなかったこの現状というのもございます。

 ですので、この辺は法律の整備ですとか危機管理の在り方ということに関して少し......、私たち自身が考えていかなければいけませんし、私の立場でなし得る発言をしてまいりたいと思います。

 ですので、ぜひ現地に行って......、やはり中に入らなければ見えない問題というのがございますので、しっかり見つめていく必要があるだろうと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

[田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)]
 はい、どうもありがとうございました。パネル(ディスカッション)につながる貴重な提言もあったと思います。それでは、池谷千尋さん。

 先ほど、泰川先生のお話に出てきましたが、「キャンナス」というボランティアナース、全国訪問ボランティアナース「キャンナス」。池谷さんも、その主要なメンバーということで活躍していらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
 

【目次】
 P2 → 水巻中正会長(国際医療福祉大学大学院教授)
 P3 → 田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)
 P4 → 加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)①
 P5 → 同②
 P6 → 柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)①
 P7 → 同②
 P8 → 泰川恵吾氏(医師、ドクターゴン診療所理事長)①
 P9 → 同②
 P10 → 石井美恵子氏(日本看護協会)①
 P11 → 同②
 P12 → 池谷千尋氏(看護師、キャンナス焼津代表)①
 P13 → 同②

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