「大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか―被災地からのレポート」 ①
■ 加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)①
[加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)]
ご紹介にあずかりました加塩でございます。医療法人社団・永生会の医療安全または患者安全の指導をしている立場にございまして、急性期の南多摩病院の救急医療に携わっている者でございます。
今日は医師の......、今回の災害に対する参加の立場というのはかなり多岐にわたっておりまして、日本医師会またはDMAT......、日本医師会のJMATですね、それから、徳洲会グループ(TMAT)はもう早い時期から出ていましたし、国境なき医師団......。
そういう所のいろいろな医師がそれぞれの立場で、必要に応じた地域を求めて医療に参加するというかですね......、今に至っております。
私たち永生会は東京DMATの中核メンバーとして気仙沼を中心に医療支援を行ってまいりますので、その例をご紹介させていただければと思っております。
これ(スライド写真)は出発の朝ですけれども、第1班です。安藤理事長が真ん中後ろにおりますが、バスに資材を携えて出発しております。(中略)
最初、情報が全然分かりませんでした。すべてシャットダウンしておりますから......。気仙沼に入ったグループと、他のグループ......、これ(スライド)は福島ですね......。当初から、かなり放射能のことも危惧されながら救援活動の情報収集に、まず第1班は走っております。(中略)
今回の災害の特徴というのは非常にあの......、けがを負っている方がいるというのではなくて、亡くなられる方は津波でもう亡くなられてしまって......。
残った方々は慢性期の医療を求める方々で、医療を支える人がいなくなって難民化しているという構図にありまして、外科医よりも内科医や在宅医のニーズが非常に大きいというのが今回の特徴でございます。
従いまして、至急に医療を必要とする(トリアージ第1順位の)「赤い色」はかなり少ない。それよりも、長期的なフォローが必要な「黄色」、すぐには必要ではないですけれどもかなり高度な医療を必要とするメンバーが......、探していくことが多かった。そういう特徴を持っております。
従いまして、すぐにこの患者さんたちがどのような医療を必要としているかをそれぞれの立場で掌握しているんですけれども、お互いの共通言語といたしまして、一目で見て危険な状態であると赤色の札が、またはカルテができますし、至急の治療が必要な患者さんは黄色の札ですね、「タッグ」と言いますけれども......。
それから、ある程度の治療は必要ですけれども、現時点では対応できないような患者さんは白と、こういう形で色分けをしまして、患者さんを少数の医療技術者で対応するという仕組をこさえておりました。
こういういろいろな必要な資源または情報......。カルテも全くございませんし、薬剤も......。当初は自分たちで持ち込んだ薬剤が使える唯一の薬剤なんですけれども......。
当初、準備した薬剤と異なりまして、現地で必要としている薬剤というのはかなり慢性期の患者さんたちの特殊な、長期的にするようなお薬も......、そういう違いが......。
予想したものとかなり異なる薬剤への対応が必要になりまして、いろいろな後方支援の所から取り寄せたりとか、またはそういった情報をツイッターとかいろいろな形で提供して皆様方の援助を得たというのが今回の特徴ではなかったかな、と思っております。
【目次】
P2 → 水巻中正会長(国際医療福祉大学大学院教授)
P3 → 田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)
P4 → 加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)①
P5 → 同②
P6 → 柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)①
P7 → 同②
P8 → 泰川恵吾氏(医師、ドクターゴン診療所理事長)①
P9 → 同②
P10 → 石井美恵子氏(日本看護協会)①
P11 → 同②
P12 → 池谷千尋氏(看護師、キャンナス焼津代表)①
P13 → 同②