「大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか―被災地からのレポート」 ①
■ 柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)①
[柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)]
日本歯科医師会の柳川でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
まずは、被災地の皆様に改めてお見舞いを申し上げるとともに、日本医学ジャーナリスト協会関係の皆様に、このような機会を与えていただいたことを厚く御礼申し上げます。
私は日本歯科医師会......、6万5000人の会員がいる歯科医師の集まりでございますが、災害時の対策が私の担当でして、こういうことになったわけでございますが......。
実際に岩手、宮城、福島の3県に入っておりますが、主に東京にいて、例えば人とモノ......。派遣する歯科医師、あるいは支援物資をどうしようとか、厚生労働省、警察庁、自衛隊と連携を取りながら、調整を取りながら......というのが私の現在も続いている役割でございます。
歯科と災害との関わりということになりますといくつかあるんですが、先ほどお話がありましたように、実は救急医療という面では......。
救急歯科医療と言うと主に外傷......、顎骨(がっこつ)の骨折とかですね、そういう処置があるわけでございますが、今回は地震というよりは津波の災害でしたので、そういった外傷は極めて少ない状況でございました。
それから日常的な歯科診療の継続、あるいは義歯のトラブル等、これはもう必要なわけで、それからもう少し......。既にもう始まっていますが、避難所の避難民への歯科医療とか口腔ケアの提供、これをやっているところでございます。
主に3県の......、実際には被災された歯科医師が中心になって、被災地の歯科医師が中心になって、私ども日本歯科医師会がそれをサポートするという形で動いております。
それから、支援物資も送らなきゃいけない。例えば、既に歯ブラシを21万本、被災地にお送りしていますが、そういったことも大事な仕事でありますのでやっております。
もう1つ忘れてはならないのが、本日少しお話しさせていただきますが、身元不明のご遺体の識別作業でございます。ご承知のように、歯科で身元が判明するというケースは非常に多いわけです。
今回は地域の歯科診療所が流失しておりますので、カルテ情報がなくなっているという状況がありますので、なかなか照合には苦労しているところではございますが......。
実は今回、政府......、総理の補佐官から私の所に電話が携帯電話にありましたのが11日の翌日、12日にありまして......。これはどういう要請だったかと言うと......。
「どうやら報道ではご遺体がたくさんありそうだ」と......。「1000、2000というレベルではとてもないような状況なので用意してくれ」ということが12日に既にございました。
岩手が一番最初だったんですが、岩手県警察の要請を受けて、岩手県の歯科医師会、歯科医師たちが既に翌日から身元確認の作業に当たっております。福島、宮城も翌々日、13日から行っております。
それが今、人的な派遣という意味では、全国から集まった歯科医師たちがそれをサポートする形で出ているんですが、今は避難所の口腔ケア......、それも後ほどお話ししますが、これにチーム編成を......、少し遅れましたがやっているところでございます。(中略)
【目次】
P2 → 水巻中正会長(国際医療福祉大学大学院教授)
P3 → 田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)
P4 → 加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)①
P5 → 同②
P6 → 柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)①
P7 → 同②
P8 → 泰川恵吾氏(医師、ドクターゴン診療所理事長)①
P9 → 同②
P10 → 石井美恵子氏(日本看護協会)①
P11 → 同②
P12 → 池谷千尋氏(看護師、キャンナス焼津代表)①
P13 → 同②