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ニュース〜医療の今がわかる

「大地震でジャーナリスト、医療者はどう動いたか―被災地からのレポート」 ①

■ 池谷千尋氏(看護師、キャンナス焼津代表)②
 

 これ(スライド)は中学校2階、3階から見た景色です。こうやって、1つひとつですがヘドロを取り、片付け、咳が出ている人、不眠の人......。

 本当に、この50何人かの避難している方々の現状は無気力で、手伝って何かをやろうという気力は失せています。でも、1つひとつ綺麗になることによって、きっとその人たちも今後に生かしてくれるだろうということで、一生懸命に綺麗にして頑張っているところです。(中略)

 私たちは、うがいや手洗い、消毒を徹底させていただき、小児を中心に環境整備に努めてまいりました。環境整備に努めることによって、咳とか鼻水とか喉の痛みとかがだんだん消えてきたのは確かです。

 ただ、そこには「キャンナス」だけの力ではなくてドクターの力がとても大きかったです。私たちは1つひとつの症状をドクターに訴え、ドクターは本当によく診てくれて、1つひとつ対応してくれました。

 私が入った6日、患者さんが......、名前言っちゃっていいのかな......、日赤に入院予定だったのですが、日赤はもう一杯だということで、その末期の患者さんでさえも受入れをしてくれなくて、避難所に寝泊まりしていました。

 その方がそれで本当にいいのかと思って代表に電話させてもらったら動いてくださって、亀田総合病院の小野沢先生がすぐに来てくださいました。その先生が日赤に連絡してくれて、亀田総合病院にも連絡してくれて、この方は日赤に入院することができ、その後、何日かして亀田総合病院に搬送されました。

 また、房総半島のカナタニ先生、イトウマミ先生も来てくださいまして......。マミ先生が来てくれた前の日に「お腹がおかしい、被災してから便が2回しか出ていない」ということで、ちょっと触ってみたのですが何も......。

 でも、おかしいと思って、たまたま来てくれたマミ先生にお願いしました。先生が診てくれて、「これはもう病院に送りましょう」と言ってくださいまして、マミ先生が日赤に連絡して、入院の手続きから搬送まですべて先生が行ってくださいました。

 こういった先生方のお力を頂きながら、そこに「キャンナス」という看護師がプラスされて、とても良い医療と看護ができたのではないかと思っております。(中略)

 石巻は本当に悲惨な状態ではあるのですが、いろんな方が投入されております。自分でやることを考えて入ってくれている方々と、何でもいいからと言って入ってくる方々がいることは確かでした。

 何でもできるなら掃除ぐらい、環境を整備するぐらいやっていただければよかったなあと私は思っておりますが......。今後もこのような状態はまだまだ続くかと思います。

 もう1つ。私は1回だけ......。10日に看護協会から連絡がありまして、「欠勤が出てしまって夜勤をお願いしたい」ということを言われまして夜勤をさせていただきました。

 その結果......。そこはカツマ小学校......、その小学校に入らせてもらったんですが、環境とそれから掃除もろもろがすべて行き届いていませんでした。行き届いているのは医療だけです。

 その校舎の一角に診療所のようなものができておりまして、そこに皆さんが並んで、診療所と全く同じ状態のものを備えておりました。だけど夜勤をやらせてもらった時に「本当にこんな所でいいのか」と......。私たちが今まで入った気仙沼よりもまだひどい所があったと思います。

 お水が出るのにお水を止めている学校です。いろんなボランティアが入っていると言っていながらも、掃除が何もできていない学校でした。その学校が14日、15日に体育館に全部移動するという話を聞きました。

 現状、体育館に260......、280人ぐらいいまして、校舎には230人ぐらいいるんですね。230人の方々が体育館に集まります。ということはどうなるかと言いますと......。

 想像してみれば分かるんですが、入りきる隙間はほとんどありませんでした。そこに230人を詰めると言う。なおかつ水は出ない......、出ないのではなくて止めている学校。

 自衛隊のもろもろの支援は入っておりました。食事とかも入っていましたが、環境整備、これで本当にいいのかという......、すごい怒りを感じながら帰ってくることになってしまいました。

 次の日に、「環境整備と掃除だけでいいので私たちにやらせてほしい」と......、私ともう1人の方と一緒に小学校に言ったのですが、「いや、ボランティアの方々も一杯入っているので結構です」と却下されて帰ってきました。

 とても心配で、今でもたまらない気持ちでいます。こういう所がまだまだあって、閉鎖的というか、あまり外部には言いたくないという所が多々あるのではないかと思っております。

 本当にそういう所にいろんな人たちが入っていって報道してもらいたい。大きな所は大きな人たちが一杯入っているからいいので、小さな所に入っていただきたいと思っております。ご静聴ありがとうございました。失礼しました。(拍手)

[田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)]
 はい、ありがとうございました。(中略) これまで医療者5人の方々に本当に生々しいレポートをしていただきました。この後、3人はジャーナリストです。(続きはこちら

  
 (この記事へのコメントはこちら
 


【目次】
 P2 → 水巻中正会長(国際医療福祉大学大学院教授)
 P3 → 田辺功氏(医療ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)
 P4 → 加塩信行氏(医師、永生病院・安藤高朗氏代理)①
 P5 → 同②
 P6 → 柳川忠廣氏(日本歯科医師会常務理事)①
 P7 → 同②
 P8 → 泰川恵吾氏(医師、ドクターゴン診療所理事長)①
 P9 → 同②
 P10 → 石井美恵子氏(日本看護協会)①
 P11 → 同②
 P12 → 池谷千尋氏(看護師、キャンナス焼津代表)①
 P13 → 同②

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