わが国の救急医療崩壊は再生可能か
2009年11月6日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)・診療報酬基本問題小委員会で、財団法人・日本救急医療財団の島崎修次理事長が救急医療について意見を述べた(出典:同会議の資料、および議事録)。
島崎理事長が特に時間をかけて説明したのは、二次救急のしわ寄せが三次救急に及んでいる点(8ページ参照)だった。しかし......と言うべきか、それゆえと言うべきか、2010年度の診療報酬改定は三次救急の"出血"を止めることに力が注がれた。
【遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)】
それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第145回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催したいと思います。まず、本日の出席状況について御報告をいたします。(中略)
周産期救急医療に関する関係者ヒアリングにつきましては、現場の状況を診療報酬に反映させるべく、中医協としては初めての試みではありますけれども、現場の先生方からヒアリングをするということを提案いたしまして、9月30日の本小委員会においてその実施を御了解いただいたという経緯がございます。
▼ 中医協は9月30日から1か月中断、日本医師会執行部を外した新メンバーで10月30日に再開した。
本日は、その4つの分野からお二人ずつ合計8名の方にお越しいただきました。(中略) 救急(成人)のほうでは、島崎修次先生でいらっしゃいます。杏林大学医学部救急医学講座教授。引き続きまして、菅井桂雄日本救急医学会保険委員会委員でいらっしゃいます。(中略)
それでは、引き続きまして、成人の救急医療につきまして島崎先生、よろしくお願いします。
【島崎修次氏(財団法人日本救急医療財団理事長)】
島崎です。一応、総論的な救急医療にかかわるところを島崎が話しまして、最後、5分ほどで各論的な要望を菅井先生に話していただきます。
資料の1枚目の下段ですけれども、救急患者が年間500万件を超えるような状況下で社会的要因、患者側の問題あるいは医療機関側の問題、いろいろあるんですけれども、基本的には、医療機関側が現在対応の限界に来ているという状況だというように思います。
先ほど話がありましたけれども、もともと不採算部門のところを数少ない救急にかかわる医師たちが何とかやってきたのが、ここに来て限界が来たということでございます。
【目次】
P2 → 重症救急の受入状況
P3 → 二次救急医療機関の受入状況
P4 → 照会11回以上事案の時間別分布
P5 → 救急受入が困難な理由
P6 → 地域の搬送・受入ルールの策定
P7 → 搬送先が速やかに決定しない場合
P8 → 二次のしわ寄せが三次の救命センターへ
P9 → 救命救急センター等の受入率
P10 → 医師の勤務時間、当直回数
P11 → 研修後に専門としたい診療科
P12 → 救急医療に必要な診療報酬上の評価