わが国の救急医療崩壊は再生可能か
■ 二次救急医療機関の受入状況
【島崎修次氏(財団法人日本救急医療財団理事長)】
次のページをお願いいたしますが、4枚目の下ですけれども、救急医療の受入機関の状況なんですけれども、これを見ていただきますと入院を要する二次救急医療機関が大体5年間で80病院ぐらい閉鎖に追い込まれているというような状況です。
二次救急医療機関は、入院を要する一般救急患者を受け入れる医療機関で、数としても最も多くて、ある意味、救急医療体制の中核を担っていると思いますが、そこが減ってきているということで、原因として一般に言われているのは救急をやるメリットがないということで、ペイできないとか、あるいは夜中に起きて働く医師を一般病院のほうが大学病院に求めても、大学病院でも医師が不足しているというような状況、あるいは医療訴訟の危機のみが高いというようなことが理由として挙げられていると思います。
ちなみに、二次救急医療機関で月平均大体500例の救急患者を受け入れている大都市の典型的な二次救急医療機関が、大体月250万円から300万円ぐらいの赤を累積しているということでございます。
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これは二次救急医療機関の受入状況を見たものなんですけれども、外来と入院、実際、二次救急医療機関に来る患者を見たものですが、一番右端の平均を見ていただきますと、85%ぐらいは実は外来で帰れる患者が来ていまして、入院が余りないということになっております。
本来、入院治療を行うための医療機関として位置付けられて、そのために救急入院用のベッドを空床あけてマンパワーもつけて待っていても、なかなか患者がそういう意味での救急入院できずに外来が処理できるというようなところがあって、ペイできない大きな一因にもなっているというように思います。
【目次】
P2 → 重症救急の受入状況
P3 → 二次救急医療機関の受入状況
P4 → 照会11回以上事案の時間別分布
P5 → 救急受入が困難な理由
P6 → 地域の搬送・受入ルールの策定
P7 → 搬送先が速やかに決定しない場合
P8 → 二次のしわ寄せが三次の救命センターへ
P9 → 救命救急センター等の受入率
P10 → 医師の勤務時間、当直回数
P11 → 研修後に専門としたい診療科
P12 → 救急医療に必要な診療報酬上の評価