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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

ホントに白い巨塔なの?大学病院って、こんな所。

12-2-1.JPG大学病院、大学病院と気軽に口に出しますが、何が普通の病院と違うのか、はたまた違わないのか、ご存じですか?
知っているようで、意外と知らない大学病院の実態をお見せします。

監修/武藤徹一郎 癌研有明病院院長
    吉田修 奈良県立医科大学学長

市中病院と何が違うの?

 大学病院と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか? 「医療の質が高い」ですか、「最先端医療」ですか、ひょっとすると「白い巨塔」かもしれませんね。何はともあれ、大学病院を知らない人はいないでしょう。でも、普通の病院(いわゆる市中病院)と何が違うのか、きちんと説明できますか。
 市中病院と最も異なる点が、大学に付属した施設であること。ここまでは分かりますね。では、大学の付属施設だと何が起きるのでしょう。
大学は文部科学省、病院は厚生労働省と監督官庁が異なるため、不都合も起きていますが、この件は後日改めて。一般的な回答は、「大学病院では臨床だけでなく教育・研究も必要になる」。恐らく、この辺りで既にピンと来なくなっているのではないでしょうか。噛み砕きます。
 「臨床」というのは、対患者の医療です。後述するように先進的・専門的な医療を期待される場面もありますが、ほとんどの場合に行っていることは、大規模な一般の病院とそんなに変わりません。
 次からが特徴になります。まず、「教育」です。大学には医学生が学んでいます。座学だけで医師になられたら恐ろしいので、当然見学や実習があります。見学や実習の対象となるのは皆さんのような患者です。とはいえ、学生は医師免許を持っていないので、患者の健康を左右するようなことはさせられません。ご安心ください。
 「教育」を受けるのは、医学生だけではありません。
 社会人経験のある方はお分かりと思います。大学を卒業したばかりの人が、いきなり一線でバリバリ活躍することは、まずないですね。医師だって同じです。医師免許を持っていても、1年目や2年目の医師には危なっかしくて全部は任せられません。実際に現場で先輩に習うこと(=臨床研修、vol.30参照)が必要です。
 以前は、この臨床研修も大学で受ける人が大半でした。研修中の医師を「レジデント」と言います。研修が終わって正規職員になると「スタッフ」です。ちなみに医師らが大学病院で所属する診療科や講座のことを「医局」と呼びます。聞いたことあるかもしれませんね。この医局については、次項で詳しく説明します。
 大学病院が教育組織であることは、ベテラン医師の肩書きを見ても一目瞭然です。教授、助教授、講師、助手といったように、ほとんどの人が教育職ですよね。
 えっ? 肩書のない人もいるぞ、と思いましたか。良いところに気づきましたね。
 肩書がない医師の中には相当数、正規職員ではない人が混じっています。正規職員でない医師が大勢常勤していること、これが実は市中病院と大学病院との最大の差かもしれません。
 では、正規職員でない医師は、一体どういう立場なのでしょうか。
 まずは、先ほども触れた研修医です。つい3年前まで、研修医は修行中の身のため、トレーニングも兼ねて丁稚のようにこき使われるのが当たり前でした。時給に直せば、病院で働いている人の中で最も給料が安かったかもしれません。
 あまりにも研修医の待遇が悪かったので2年前から制度が変わりましたが、それが新たに別の問題もひき起こしています(コラム参照)。
 さらに、なんとお金を払って医師をしている人たちもいます。「医学博士」の肩書を得るため、医師を何年か中断して大学院で学ぶ人たちです。この期間は「学生」ですから、大学に学費を払います。でも医師として脂が乗りかけの時期だけに、学問だけでは許されず、給料なしで臨床にフル稼働している場合も多いのです。
 この労働と給料との関係、不思議だなあと思いましたよね。なぜこんなことになっているのか、「医局」が何なのかを知ると見えてきます。次のページで説明します。
 そうそう、大学病院の特徴である「研究」に触れるスペースがなくなってしまいました。これは後ほど改めて扱うことにします。

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