中村利仁の社会の中の医療

またまた患者死亡で医師逮捕

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2010年02月06日 12:58

 以前、NHKの報道に関して当ブログのエントリとしました奈良県郡山市の山本病院事件ですが、詐欺罪で実刑判決を受け、控訴中である同院理事長が、元同院医師の一人と共に、業務上過失致死罪の疑いにて奈良県警察本部に逮捕されたそうです。

 医療行為に伴う業務上過失致死容疑での逮捕については、その必要性などについて議論のあるところです。そして、その容疑の内容は、全国の外科医全てに対して破壊的影響を与えるます。医療崩壊を一層進め、まもなく、大学病院ですら必要な手術が受けられなくなります。

奈良診療報酬詐欺:山本被告と医師逮捕、患者出血死関連で
【上野宏人、大森治幸】
毎日新聞 2010年2月6日 10時13分(最終更新 2月6日 12時33分)

続きを読む>>

日本では歩け、歩け!

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2010年01月23日 20:47

 まずは新聞記事のご紹介から。

一歩あるけば医療費0.0014円節約 厚労省試算
asahi.com 2010年1月23日15時6分

 メタボ検診とは全く逆の考え方に基づいた記事です。

続きを読む>>

MRIC:臨時 vol 346 「事業仕分けと御用学者」

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年12月03日 23:25

 11月17日午後、1時間以上遅れて始まった国立保健医療科学院の事業仕分けで、
驚いたことに医療政策の研究者の個人名が上げられて事業の是非を巡る議論が行われ
ました。

(以下、下記でお読み下さい。)
http://medg.jp/mt/2009/11/-vol-346.html

地域医療と地方空港

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年10月21日 00:52

 ローカルな話題で恐縮です。

 札幌市の中心部から北東約6キロに、丘珠空港(札幌飛行場)があります。1500mの滑走路が一本の小さな官民共用飛行場です。プロペラ機の定期便が運航されており、北海道内の函館・釧路・根室中標津・女満別・稚内の5つの飛行場と札幌市内を結んでいます。

 観光シーズン等はそれなりに利用されているのですが、各便とも普段はあまり満席になることもありません。

丘珠撤退、市議会に説明…全日空「方針撤回難しい」
(2009年10月20日 読売新聞)

 ということで、ANAがこの空港から撤退し、市内からJRで36分の千歳空港に集約化の方針を打ち出しています。

 実は、この小さな空港から行き来する小さなプロペラ機達が、北海道の地域医療の一端を支えています。このままなら廃止はやむを得ないというのが航空会社の判断のようですが、その影響を最小化する努力がされる必要があるのだろうと思います。

続きを読む>>

現場を知らない者が母子の生命を危険に陥れる

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年08月14日 15:56

総合周産期センター:「母体救命」要件に 整備指針改正
【清水健二】
毎日新聞 2009年8月14日 2時30分(最終更新 8月14日 3時05分)


 記事が忠実に発表内容を表現できているとしての話ですが、人命を何とも思わない冷酷な政策がここにはあります。

> ベッド数に応じて下限が決まっていた看護師数も「必要な適当数」と改めた。

 NICUにベッドがあること以上に、ケアに当たる看護師のいることが大切なのに、そしてNICUでは今でも看護師不足で危機的状況にあるのに、今よりさらに人手が薄くなっても患児を引き受けろというのでしょう。

続きを読む>>

社会的信用の毀損:他人事のNHK

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年07月07日 15:13

 またまた続報です。

NHKニュース
診療報酬不正受給 病院閉院へ
7月7日 14時33分
http://www3.nhk.or.jp/news/t10014102241000.html#
(リンクはすぐ切れるだろうと思います)


 遂に病院は閉院となりました。

 「…病院としての社会的な信用を失った。…」

 さて、NHKが繰り返した不当かついい加減な報道は、この病院の社会的信用に対してどのような影響を与えたというのでしょうか。

 確かに医療法人の理事長と病院事務長が逮捕されたということ自体、病院の社会的信用を大きく毀損したことでしょう。ですが、警察に逮捕された人間だからといって、NHKがあることないこと言い立てて良いというわけではありません。

 NHKの記者は全く他人事ですが、いい加減な報道を繰り返してこの病院の信用を大きく損なったたことの責任感が記事から全く感じられないのはいったいどうしたことでしょうか。

続きを読む>>

死亡診断書の書式:NHK記者は見たことがないのか?

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年07月04日 00:47

 一昨日のエントリの続報です。

NHK ニュース
病院 うその死亡診断書作成か
7月2日 18時1分
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014016471000.html#
(リンクはすぐに切れるだろうと思います。)

「…手術室でカテーテルを使った心臓の検査を受けている最中に出血して死亡しましたが、病院は、死亡診断書に、男性が病室で体調が悪化して死亡したという記載をしたということです。…」

 医者でも死亡診断書を書いたことがない人は珍しいだろうと思います。一度でも書いた人であれば、院内の死亡場所を手術室やカテ室や検査室なのか、あるいは病室なのかを記載することは通常しないということはすぐに分かるでしょう。

[PDF]死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 厚生労働省大臣官房統計情報部・医政局
http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual.pdf

 当然に死因は記載しますが、死亡した部屋の種別まで記載するということはそもそも不自然なのです。死亡場所の記載は、医療機関の場合はその所在地までなのです。部屋まで書くということは異常事態です。病死及び自然死の場合は通常行われません。

 記事文面からはNHKの独自取材であった様子が伺われます。しかし、やはり医者に聞いてみるという手続きが行われたのかどうかが疑わしい記事です。

 また、こんなことは医師免許を持っていれば、本来は当然に知っておくべき知識で、死亡診断書を書いた経験の有無の問題どころか、医学部の学生でも教わっている程度のレベルの低い誤解です。

 ところが、この報道に関係したNHK記者は知らないだけでなく、医者に聞いてみるという当然の手続きを端折っているようです。

 このニュースを視聴した国民の皆さんは、病室の種別の書かれていない死亡診断書を手渡されたとき、医者や医療機関に深刻な疑念を抱くことになるでしょう。

続きを読む>>

負荷心電図というものがある:警察とNHKは知らない

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年07月02日 15:38

 NHKの報道です。

NHK ニュース
薬投与後に診断し検査の疑い
7月2日 12時27分
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014004491000.html
(リンクはすぐに切れるだろうと思います。)

「…患者に対し心拍数をあげる薬を投与したりルームランナーのような装置の上を走らせたりしたうえで、心電図をとって狭心症や不整脈などと診断し患者から検査の同意を取り付けていたということです。…」

 この検査を負荷心電図と言い、日常、多くの医療機関で普通に行われています。不正でも何でもありません。

 こんなことは医師免許を持っていれば専門外であっても当然に知っておくべき知識で、現場経験の有無の問題どころか、医学部の学生でも知っている程度のレベルの低い誤解です。

 ところが、この報道に関係した警察官とNHK記者は知らないだけでなく、医者に聞いてみるという当然の手続きを端折っているようです。

 今日、このニュースを視聴した患者さん達は、明日から医者や医療機関に深刻な疑念を抱きながら負荷心電図の検査を受けることになるでしょう。

【追記有り】

続きを読む>>

国民一般に訴えかけてこそ意味があるのでは

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年05月24日 11:35

 以前、タミフルの承認取り消しと回収を求める動きがあり、マスコミでも非常に大きく取り上げられていました。

[PDF]承認取り消しと回収を求める要望書
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)
2007年3月26日

続きを読む>>

Re: やっぱりわからない外来管理加算(2)

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年05月01日 18:30

 外来管理加算が国民の外来受診回数を減少させるための方策であることはわかっていただけたかと思います。では、なぜに再診料そのものの増減ではなく、別途の加算として設計されねばならないのかについて考えてみましょう。

続きを読む>>

 1 | 2|  3 |  4 | All pages