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ニュース〜医療の今がわかる

後期研修班会議1

外山
「20年ばかり前に米国から帰ってきた時には随分とカルチャーショックがあった。最初は、とにかくいい臨床を提供することに専念していたけれど、そのうちにこれを受け継いでいかなければならないと考えるようになり研修医教育にも力を入れるようになった。その卒業生たちが、その後どのようなプロセスで自分の能力を発揮しているか見ていると3つのことが言えると思う。まず、教育にはエネルギーが要るということ、特別な予算で特別な指導医が要る。片手間では勤まらない。二つ目には、大学も含めてそれなりの診療水準にある医療機関が横につながって、教える側、教わる側を分けあわないと水準は上がらない。土屋先生ご専門のがん教育も、がん専門病院と連携してローテーションするような形でないと後期研修医全体のレベルは上がらない。3つ目に、医師不足云々の原因が初期臨床研修であるかのように言う人がいるけれど、もしそうであるならば制度全体が間違っているんであって、臨床研修が間違っているのではない。むしろ臨床研修は大事な最初の一歩で、これからだなと思っていた。むしろ後期研修にどうつなぐかの方が大切だろう。偏在があるとするなら、それはやはり定員化で対応するしかなく、その場合に何人ぐらい必要なのかは専門医とは何なのかの概念なしにはいかない」

岡井
「専門医の必要数を議論する時、家庭医の問題がある。どの位いてどこまで診てくれるのかによって専門医の必要数は大きく変わるので、むしろそちらを先にやってもらった方がよいのでないか」

外山
「私は特殊な診療科の人間だが、しかし常に自分が総合医であり家庭医であるというスタンスで診療にあたってきた。家庭医というのは立派な専門医であり、そのスタンスがどこまで理解されているかが重要だ」

川越
「すごく興味深い話が続いていると思う。専門医の必要数を計算する際に国民のニーズから計算されているのだろうか。知らないので教えてほしいのだが、そういう計算をしている分野はあるのだろうか。考えるに、計算しやすい分野としにくい分野があるような気がする。岡井先生、海野先生を前に何だが、お産なら年間の回数が決まっているから必要な数は計算できて、それが減ったらもちろん困るし増えすぎても困るから目標数を立てやすい。しかし家庭医の数ということになると、そもそも家庭医の定義すらハッキリしてないし、専門医として登録すれば必要数は出てくるものなんだろうか」

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