厚労省の「医師密度」案に異論噴出
■ 「初期研修医を医師密度に入れていいのか」 ─ 瀬戸委員
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
「医師免許取得後5年」っていうのと、「医師全体」っていうので(分けて)集計されていますけど、5年の区切りっていうのはどういう意味なんでしょう?
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
はい。お願いします。
[保険局医療課・丸山慧主査]
これは前回、医師研修機能の検討の中で、研修機能として評価しようとするのでも5年以内、要は専門医を取れる程度ぐらいまででいかがでしょうかというご議論だったと理解しています。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
はあ......。あの、これ、感覚的にはですね、今の初期研修と、やっぱり3年目、4年目、5年目と全く違うもんであって、1年目、2年目っていうのは保険医でもないわけですよね?
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
いや、保険医です。
[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
保険医。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
保険医......ではあるけれど、それを終わらないと、なんか......。
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
事務局、(保険医で)いいですよね?
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
だから、我々からすると、1年目と2年目は基本的には、ほんっとの初期研修医なんです。で、やっぱり3年目以降は我々からしても、それは医師として......、という感覚を持つんです。なので、僕は個人的には初期研修医というのを「医師密度」の中に入れていいのか、っていう疑問。
▼ 研修医に選ばれるような病院(ブランド病院と言うべきか)を診療報酬で優遇しようという方針なのだろう。
要するに、そうすると東大が一番得をするんだろうけど......。(委員ら、笑い) だけど、その「医師密度」の中に研修医を入れていいか、入れるべきかというのは個人的には疑問を感じます。
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
あの......、実はこの経緯っていうのは一番最初は、医師臨床研修を受けているか受けていないかによって分けようとした。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
それは別の項目ですよね?
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
最初のスタート、最初のスタートはそこで、それよりも研修ということを考えたら、事務局(保険局医療課)から説明があったように、専門医を持っているかどうか、やはり5年ぐらいで切るのが妥当じゃないか、まさに1年生、2年生は違うじゃないかという議論なので。
で、この「(医師)密度」を挙げているのは、1年生、2年生よりもその上の3、4、5の、専門医を取るところのほうが、そこに対しては貢献しているんだろう。だとすると、この人たちを育てているという所を評価してあげたほうがいいんじゃないかということで、この(分科)会の中で前々回、5年までを一応、研修機能として評価しようというふうに決まったんですよ。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
あー、そうですか。
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
そこの根元が全く......。
▼ 小山分科会長も、厚労省からさんざんレクを受けているのだろうか。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
だから実際は、やっぱり「1年目、2年目」と、「3年目、4年目、5年目」というのは全く異質です。
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
そうですね。
[瀬戸泰之委員(東京大大学院医学系研究科消化管外科学教授)]
全く異質で、1年目、2年目は今の制度上は......、まあ、まあ、いいですけど......。(委員ら、笑い) 個人的な感想ですから。
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
はい、ありがとうございます。(中略)
【目次】
P2 → 厚労省の説明
P3 → 「医療政策上のメリットを具体的に述べて」 ─ 齊藤委員
P4 → 「線引きを検討すること自体が問題である」 ─ 池上委員
P5 → 「高く付けるという誘導的な資料はどうなのか」 ─ 三上委員
P6 → 「他の視点があれば今後検討して」 ─ 嶋森委員
P7 → 「初期研修医を医師密度に入れていいのか」 ─ 瀬戸委員
P8 → 「5年目までの医師数が一番評価しやすい」 ─ 伊藤委員
P9 → 「医師の獲得合戦という変な方向も」 ─ 酒巻委員
P10 → 「ファクターを満たす実態が伴った医師密度」 ─ 厚労省
P11 → 「重症救急の受け入れ率も非常に重要」 ─ 金田委員
P12 → 「高度な技術は医師密度と関係ない」 ─ 美原委員
P13 → 「地方の病院でも質の高い治療をやっている」 ─ 難波委員