医師不足に関する見解
■ 偏在に関する総括
【東京大学医科学研究所・上昌広特任教授】
偏在に関する総括です。我が国の医師は、偏在しています。
医師の偏在は、医育機関の偏在と関連しています。愛知県の事例、あるいは茨城県の事例を見ても、医育機関の偏在と関連しています。東京ですらそうです。医育機関の偏在は、近代日本の歴史を色濃く反映しております。
ところが、各地域で考えることが違います。これは関東圏、あるいは愛知県、静岡県には極めて豊かな自治体がたくさんあるということです。財政力指数をざくっと、これは支出分の収入です。
例えば、武蔵野市は一般会計570億持っていますが、財政力指数は1.7、神奈川県の厚木市は754億、成田市は570億あります。
こういう地域に関しましては、おそらく国より、かなり豊かに予算を使えるでしょう。こういう地域におきまして医学部をつくりたい。お医者さんの数は、先ほど申しましたようにブラジル以下、メキシコ以下です。
皆さん、お子さんがメキシコに行くときは危険だと多分言われると思うのですが、千葉県成田に行くことは、殊、医療の面においてはメキシコより指数は少ないです。
こういう地域において、お金もあります、医学部もつくりたい、こういう方々が出てきております。彼らにないのは、運営するノウハウです。こういう地域においては、海外からの医科大学を誘致するような声も上がってきております。当然、一つの考え方だと思います。
【目次】
P2 → 医学部定員削減の見直し
P3 → 2008年改革の要点
P4 → 東西格差という問題
P5 → 医学部の偏在
P6 → 地域内格差 ─ 愛知県
P7 → 地域内格差 ─ 徳島県
P8 → 地域内格差 ─ 茨城県
P9 → 地域内格差 ─ 千葉県
P10 → 地域内格差 ─ 東京都
P11 → 偏在に関する総括
P12 → 災害と医療 ─ 岩手県
P13 → 災害と医療 ─ 宮城県
P14 → 災害と医療 ─ 福島県
P15 → 連携・集約できない ─ 北海道
P16 → 未曾有の高齢化を迎える日本
P17 → 結語
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