医師不足に関する見解
■ 2008年改革の要点
【東京大学医科学研究所・上昌広特任教授】
ちょっとその前に、これは今日の議論で、ぜひシェアしていただきたい共通の認識ですが、日本のお医者さんは2.1でも2.2でも、1000人当たり約2人です。先進国は基本的に日本より多いです。これを2つに分けてお考えください。
アングロ・サクソン系諸国、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等は約2.5です。猛烈に医師を増やしています。大陸系諸国、ドイツ、イタリア、フランスは3.5です。ここも増やしています。
ナース・プラクティショナー等の規制緩和が行っているのが、アングロ・サクソン系諸国です。日本は、いずれと比べても少ないです。アングロ・サクソン系諸国よりも少ない。日本より少ないのは、当時3つ。メキシコ、韓国、トルコ、1.8、1.6、1.5です。
この数字、ぜひ頭に入れていただきたいのですが、先ほどの読売新聞の記事、論調が、私が嘘だと思うのは、これです。
若い医者、勤務医というのは、先ほど小川先生も若い人だとおっしゃいましたが、確かに私もそう思います。私も、当直きついです。44歳以下は、もう増えません。
舛添さんの会議の前まで、これはいくら待っても医者は増えず、増えるのは管理職以上が増える。国民は、勤務医を増やしてほしいと言いました。たらい回しですからね。
勤務医を増やすためには、開業医の先生が病院で働くか、あるいは若手の医師を増やすしかありません。前者の場合は、ドクターフィー制度、後者の場合は医学部定員の増員となります。このあたりのコンセンサスが2008年です。
今日、ご来席の新木課長、これは着実に実行されたと思いまして、非常に敬意を持っておりますが、2008年の要点というのは、問題は勤務医の不足であると。
現行の医師のキャリアパス、アメリカのようにオフィスを持って、開業医の方が勤務医もやるというような状態でなければ、勤務医不足は永久に解消しませんでした。
自治医大さんのような新設での1期生が勤務医を辞める年代になれば、もう永久に増えませんから、その方々が増える。要するに、開業医さんが今後増えます。
2つの解決策。いずれも先ほどの舛添さんのビジョン会議で提言されています。ドクターフィーは動きませんでしたが、医学部定員は動きました。
【目次】
P2 → 医学部定員削減の見直し
P3 → 2008年改革の要点
P4 → 東西格差という問題
P5 → 医学部の偏在
P6 → 地域内格差 ─ 愛知県
P7 → 地域内格差 ─ 徳島県
P8 → 地域内格差 ─ 茨城県
P9 → 地域内格差 ─ 千葉県
P10 → 地域内格差 ─ 東京都
P11 → 偏在に関する総括
P12 → 災害と医療 ─ 岩手県
P13 → 災害と医療 ─ 宮城県
P14 → 災害と医療 ─ 福島県
P15 → 連携・集約できない ─ 北海道
P16 → 未曾有の高齢化を迎える日本
P17 → 結語
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