医師不足に関する見解
■ 地域内格差 ─ 愛知県
【東京大学医科学研究所・上昌広特任教授】
では、東西格差という問題は、この機会にぜひお考えいただきたいと思いますが、もう一つは地域内の格差がございます。
もちろん長崎県のように医師が非常に多い地域にも格差があります。深刻なのは、このような大きな県です。
愛知県、人口740万人、5200平方キロ、70キロ四角だと思ってください。この国は、もともと尾張と三河からなります。全ての医学部が尾張にあります。
尾張地区は、このように赤かったり、ピンクであったり、大陸系ヨーロッパ諸国並みにお医者さんがいます。ところが、なぜここにないか。
私は尾張の最後の徳川慶勝さんが、真っ先に官軍に寝返って全国を転戦したために論功行賞があったのではないかと考えておりますが、この地区は、お金はいっぱいあります。トヨタさんがいて、自治体は極めて豊かです。
ところが、お医者さんはなく、たらい回しがしばしば報道されます。こういう大きな街は、名古屋市から医師を強制派遣する程度では片づきません。
【目次】
P2 → 医学部定員削減の見直し
P3 → 2008年改革の要点
P4 → 東西格差という問題
P5 → 医学部の偏在
P6 → 地域内格差 ─ 愛知県
P7 → 地域内格差 ─ 徳島県
P8 → 地域内格差 ─ 茨城県
P9 → 地域内格差 ─ 千葉県
P10 → 地域内格差 ─ 東京都
P11 → 偏在に関する総括
P12 → 災害と医療 ─ 岩手県
P13 → 災害と医療 ─ 宮城県
P14 → 災害と医療 ─ 福島県
P15 → 連携・集約できない ─ 北海道
P16 → 未曾有の高齢化を迎える日本
P17 → 結語
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