医師不足に関する見解
■ 未曾有の高齢化を迎える日本
【東京大学医科学研究所・上昌広特任教授】
未曾有の高齢化を迎える日本、人口問題は、よく人口が減って、医者が増えるから足りると言います。
問題は、こちらです。高齢化が急速に進みます。医師1名1労働時間当たりの人口数です。
2010年日本、現在は7.19です。2035年は、これが4.77になります。医者が余るぞと、そういう見方もできます。ところが、高齢者が増える。1.66、1.60、これも大した変わりません。
ところが、総死亡者数となってくると、実は今のペースで医者を増やしても、今より10%増えます。さらに、現在の80時間働いている状態を48時間にすると、2035年に倍必要になります。
後期高齢者の数は、労働時間を制約しなくても、今より50%増えます。ですから、大学病院で診るような患者は、多くはお看取りの患者になってくるはずなのです。この状況に合わせてやらなければいけません。
どういう地域が足りなくなるか。
これは横軸に人口、縦軸に足りない度です。埼玉、千葉、神奈川、愛知、このような大型の県です。それから、さっき申し上げました東北地方は、200万人いる県が2つあります。
【目次】
P2 → 医学部定員削減の見直し
P3 → 2008年改革の要点
P4 → 東西格差という問題
P5 → 医学部の偏在
P6 → 地域内格差 ─ 愛知県
P7 → 地域内格差 ─ 徳島県
P8 → 地域内格差 ─ 茨城県
P9 → 地域内格差 ─ 千葉県
P10 → 地域内格差 ─ 東京都
P11 → 偏在に関する総括
P12 → 災害と医療 ─ 岩手県
P13 → 災害と医療 ─ 宮城県
P14 → 災害と医療 ─ 福島県
P15 → 連携・集約できない ─ 北海道
P16 → 未曾有の高齢化を迎える日本
P17 → 結語
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