福島医大型地域医療支援システム
■ 長期的な医師確保対策①
【福島県立医科大学理事長兼学長・菊地臣一氏】
一方、長期的な医師確保対策も必要です。これについて最後にご紹介いたします。まずは医学部入学定員増です。
現在、我々は110名ですが、一応、上限の125名を目指して、これは知事や副知事と約束をしていますが、現実には文部科学省に認めていただけないとだめなのですが。
それから、臨床系講座教授のポスト増が2010年に行われました。定員5名、複数診療科を抱える講座、内科三科と外科二科の教授を1名ずつ全部増員しました。
これにより、医学部入学定員増に対応した教育力の強化を図ることができます。無論、地域医療支援のための体制も強化できます。
そして、これは全国的に行われている地域枠の活用で、我々もこれを積極的に活用しています。
ただ、ここで非常に深刻な問題が本学では起こっています。それは修学資金をもらっている学生ともらっていない学生との間に微妙な亀裂があるというものです。私はもらっていないのだから、こんなことに関わらなくてもいいということをはっきり言う学生もいます。
そのため、私は全学生を昼食会に招いて、修学資金をもらっている者ともらっていない者を差別せず、一緒に地域医療、あるいは高度先進医療について話しております。
【目次】
P2 → 医師不足状況 ─ 医師数
P3 → 医師不足状況 ─ 地域差
P4 → 医療崩壊危機の現実化
P5 → 福島方式の背景にある理念
P6 → へき地医療支援システム
P7 → 支援教員制度の拡充
P8 → 支援教員制度の確立
P9 → 支援教員制度の利点
P10 → 支援教員制度の総括
P11 → 長期的な医師確保対策①
P12 → 長期的な医師確保対策②
P13 → 長期的な医師確保対策③
P14 → 長期的な医師確保対策④
P15 → 長期的な医師確保対策⑤
P16 → 長期的な医師確保対策の効果
P17 → 「只見町」から現在まで
- 前の記事医師不足に関する見解
- 次の記事東日本大震災と東北大学医学部定員増計画