福島医大型地域医療支援システム
■ 長期的な医師確保対策②
【福島県立医科大学理事長兼学長・菊地臣一氏】
それから、今までのような地域医療研修では決して学生、あるいは研修医はそこには行かないと思っています。それは地域医療研修には三重苦というものがあるからです。
一つは生活者としての苦痛、もう一つは研修医としての苦痛、そして医師としての苦痛。その苦痛の理由は資料のとおりです。そこで我々がつくったシステムがホームステイ型研修です。
これは現代GPにも採用されました。その結果、県もこの研修のシステムの優秀さを認めて、国庫補助がなくなっても県がその後、補助金を出して継続ということになり、現在に至っています。
では、ホームステイ型プログラムというのはどういうことかというと、その心は「地域で生きる医師の定着」、つまり、現代版下宿です。
学生は地域の中に入り、そこで下宿をして、そこから診療所に通います。診療所には常勤医のほかに大学から家庭医の教官を送っており、そこで定期的に指導を行います。もちろん、緊急の場合に備えてドクターヘリ、緊急支援体制、テレビカンファレンスを常備しております。
このホームステイ型の特徴は、まず地域、家庭でのホームステイです。
このことは既に最近出たAmerican Journal of Public Healthで意欲のある学生、あるいは地域で実習をした学生は、地域医療に携わる可能性が高いことが期待できるということが発表されていますので、本学の取り組みの方向性は間違っていないのではないかと思います。
それから、医療従事者はこんなに大変なのだというような、住民の医療従事者に対する理解が進んだことが実感されます。ホームステイ型研修は、資料のように非常に多くの学生が希望して学んでおります。
【目次】
P2 → 医師不足状況 ─ 医師数
P3 → 医師不足状況 ─ 地域差
P4 → 医療崩壊危機の現実化
P5 → 福島方式の背景にある理念
P6 → へき地医療支援システム
P7 → 支援教員制度の拡充
P8 → 支援教員制度の確立
P9 → 支援教員制度の利点
P10 → 支援教員制度の総括
P11 → 長期的な医師確保対策①
P12 → 長期的な医師確保対策②
P13 → 長期的な医師確保対策③
P14 → 長期的な医師確保対策④
P15 → 長期的な医師確保対策⑤
P16 → 長期的な医師確保対策の効果
P17 → 「只見町」から現在まで
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