新生児医療の現状と課題
■ 周産期医療とは
【楠田聡氏(東京女子医大母子総合医療センター教授】
周産期医療というのは、もちろん妊娠、出産、新生児というのを扱うわけですけれども、実際の妊娠の多くの場合はそれほどリスクがなくてローリスクというふうに呼ばれておりまして、そういうローリスクの妊婦さんからローリスクの新生児が生まれてくる。
こういう場合は、それほど多くの医療介入を必要としないわけですけれども、実際には90%ぐらいで、残りの10%ぐらいというのは母体、胎児に何らかのリスクがある。そういう方から当然ハイリスクの子どもが生まれる。
あるいは、妊婦さんにリスクがなかったとしても、何らかの突然のことで新生児にリスクがあるということでありますので、そういう分
野を扱うのが特に周産期救急と呼ばれるところで、その中の新生児医療をやっているのが、我々新生児科医が相当するわけですけれども、実はほとんどが、小児科医がこれを担っているという、そういう状況です。
【目次】
P2 → 周産期医療とは
P3 → 救急医療からみた新生児医療
P4 → 低出生体重児の出生率
P5 → 新生児死亡率と周産期死亡率
P6 → 早産児、低出生体重児、新生児死亡率
P7 → 周産期医療ネットワーク
P8 → 平均寿命と新生児死亡率の関係
P9 → 日本の新生児医療は危機的状況
P10 → NICUが不足している
P11 → NICUが不足する理由
P12 → ハイリスク新生児の増加
P13 → 長期入院児の影響
P14 → 在宅医療が困難な状況
P15 → 稼働していない病床
P16 → NICUの必要数
P17 → 新生児病床を増床する意志
P18 → 新生児病床を拡充する上での障害
P19 → 新生児科医の勤務実態
P20 → 新生児搬送の特殊性
P21 → 小児救急との両立が困難
P22 → NICU運営のバックアップ
P23 → NICUの運営経費と診療報酬
P24 → 新生児科医の待遇改善
P25 → 新生児医療の将来の改善策
P26 → 謝辞