新生児医療の現状と課題
■ 日本の新生児医療は危機的状況
【楠田聡氏(東京女子医大母子総合医療センター教授】
その下で、要するに、言いたかったことは、新生児医療は社会に、我々としては大きく貢献しているのではないかというふうに考えておりますけれども、ただ、残念ながら少しそうとは言っておれなくて危機的状況に置かれているのではないかというのが今日の趣旨になります。
次のページ。どのような危機的状況かというと、実はNICUそのものが不足している。それと、そこで働く新生児科医が不足している。
双子の課題、双子の問題というかこの2つが大きく絡まりまして、この2つが危機的状況をつくっているというふうに考えております。
その典型例が、昨年東京都で発生しました母体搬送の受け入れ不可例ということになりますけれども、このときに多くの施設が、NICUが満床であるということで母体搬送が受け入れられなかったということで、どうもNICUが需要に見合っていないのではないかということが考えられます。
【目次】
P2 → 周産期医療とは
P3 → 救急医療からみた新生児医療
P4 → 低出生体重児の出生率
P5 → 新生児死亡率と周産期死亡率
P6 → 早産児、低出生体重児、新生児死亡率
P7 → 周産期医療ネットワーク
P8 → 平均寿命と新生児死亡率の関係
P9 → 日本の新生児医療は危機的状況
P10 → NICUが不足している
P11 → NICUが不足する理由
P12 → ハイリスク新生児の増加
P13 → 長期入院児の影響
P14 → 在宅医療が困難な状況
P15 → 稼働していない病床
P16 → NICUの必要数
P17 → 新生児病床を増床する意志
P18 → 新生児病床を拡充する上での障害
P19 → 新生児科医の勤務実態
P20 → 新生児搬送の特殊性
P21 → 小児救急との両立が困難
P22 → NICU運営のバックアップ
P23 → NICUの運営経費と診療報酬
P24 → 新生児科医の待遇改善
P25 → 新生児医療の将来の改善策
P26 → 謝辞