中医協炎上、「激しく、時には優しく」と長妻厚労相
■ 「概算要求額と税収の乖離で何を考えるか」 ─ 森田委員
[森田朗委員(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
少し私から説明させていただきますと、私自身が厚生労働省担当の「仕分け人」でございます。(会場、笑い) ただ、申し上げておきますと、この中医協関係の診療報酬に関しましては、両方の立場を代表すると言いますか、利益相反の関係になりますので、お話があった最初の段階から、これには全く参加しないということで、私の個人的な見解はともかくとして、何も申し上げないということで了解を得ております。
これは事前に関係省庁との接触を厳密に禁止するというお達しもございまして、そうしますと、ここに出てくることも非常に難しくなるわけですが、公表された段階で会長さんにはご了解を頂いているところでございます。今回の診療報酬の件については、何も申し上げるつもりはございません。
実は、一昨日(中医協を)キャンセルして(事業仕分けに)出席を、という話もございましたけれども、そういう事情でお断りいたしました。昨日もちょっと地方に出ていたものですから、実は(この日の中医協が)終わった後、別の案件で初めて仕分けの会議に出席いたします。 どういう雰囲気か、出席していないものですから何とも申し上げかねますけれども、事前の打ち合わせその他も含めまして、いろいろとご批判を受けるやり方であろうかとは思っております。
それは、ご批判についても、妥当であるとか妥当でないとか申し上げるつもりはございませんけれども、あの仕組みがつくられました背景には民主党政権からの......。私も大臣からの依頼でお引き受けしたわけでございまして、厚労省担当というのは引き受けた後で聞いたものですから、ちょっと困ったわけです。
もう1つは、今の国家財政の下で概算要求の総額が95兆円とか言われていますが、来年度の国税の税収が38兆少しぐらいという、その乖離の状況の下で何を考えるかというのが問題意識にあるということは申し上げておきたいと思います。以上です。
従いまして、このことについては、私は何とも発言するつもりもありませんし、お答えもできませんし、(語気を強めて)ご批判をされても困りますので(委員から笑い声)、よろしくお願いいたします。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
ありがとうございます。勝村委員、どうぞ。
▼ ここまでは意見書の提出を主張する診療側に対し慎重論を唱える支払側という展開。「事業仕分け」に対しては診療側も支払側も疑問を呈している。公益側の森田委員から「批判を受けるやり方」との発言もあった。しかしこの後、1号(支払)側の勝村委員と、2号(診療)側の嘉山委員との間で激しいバトルが勃発した。
勝村委員は医療事故の被害者の立場から幅広く活動しているが、中医協にはあくまでも「支払側委員」として参加。診療報酬の配分についてはかねてから「ダイナミックな改定」を主張しており、診療所と病院の配分を大胆に見直すことを求めている。
【目次】
P2 → 「最終報告が出た段階で意見を承りたい」 ─ 遠藤会長
P3 → 「決まる前に『慎重にやれ』と中医協から声明を」 ─ 嘉山委員(診療側)
P4 → 「伸びたから下げようという議論は乱暴」 ─ 安達委員(診療側)
P5 → 「行政刷新会議はどういう法律の裏付けか」 ─ 白川委員(支払側)
P6 → 「人民裁判でも見ているようで怖い感じ」 ─ 鈴木委員(診療側)
P7 → 「中医協は冷静に動きを見守って結論を頂いて議論」 ─ 北村委員(支払側)
P8 → 「中医協として何らかの意見を出していただきたい」 ─ 西澤委員(診療側)
P9 → 「概算要求額と税収の乖離で何を考えるか」 ─ 森田委員(公益側)
P10 → 「中医協として今の段階で意見を出すのは無理がある」 ─ 勝村委員(支払側)
P11 → 個人の人格、意見を無視する」 ─ 白川委員(支払側)
P12 → 中医協炎上 ─ 勝村委員 VS 嘉山委員
P13 → 「激しく、時には優しく」 ─ 長妻厚労相
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