文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

中医協炎上、「激しく、時には優しく」と長妻厚労相

■ 「中医協として今の段階で意見を出すのは無理がある」 ─ 勝村委員


[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 (事業仕分けは)この中医協に関連する話ですので意見交換は多少はいいと思うんですけれども、今日はそれに関する何らかの資料とか文書が出ているわけではないんで、「ちょっとテレビで観た」とかいう形での議論には一定の限界があると思いますので、まあ、(国立大学)医学部長会議とか何かというところで声を出すのはいいと思うんですけど、中医協として今この段階で意見を出すということは、北村委員と同じで、ちょっと無理があるんじゃないかと思います。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 (強い口調で)そういうことをやってきたから、この日本がおかしくなってきたんであって、(財務相の諮問機関である)財政制度等審議会の(建議の)中身を見ると、専門家が一切入っていなくて、今年の4月6日(ママ)に出ているんですよ。

 ▼ 財政審は6月3日、与謝野馨財務・金融・経済財政相(当時)に対し、2010年度予算編成に向けた建議(意見書)「平成22年度予算編成の基本的考え方について」を提出した。建議では、▽診療報酬の配分あり方 ▽医師の適正な配置 ▽医療従事者の役割分担の見直し─の3つの課題に取り組む必要性を指摘。医師の絶対数は増えているとの認識から、偏在を解消するための「経済的手法」と「規制的手法」を提示した。
このうち、「経済的手法」は医療費の配分を見直すこと。診療所に偏った配分を見直すため、診療報酬改定のプロセスについて改めるべきと主張、中医協の構成や役割も見直す必要があるとした。「規制的手法」としては、医師の適正配置を挙げている。建議は、こちら【PDF】を参照。

 ぼくは詳しくあれを読んだんですが、例えば1つの例ですが、委員には1人も医療関係者がいません。はっきり言えば、こんなことを言うと叱られるかもしれませんが、町のおじさん、おばさんが集まってですね、医療のことを話している。
 (建議の)中身はどういうことかと言うと、「産婦人科専門の大学をつくったらいいんじゃないか」と。産婦人科の患者さんは心臓病や糖尿病を持っていることもある。

 ですから、そういうふうに......、エビデンスもなく検証もなくサイエンスもない中身のディスカッションをして、政策立案が出てきたんですよ。ですから、我々のような専門家がここで議論しているので、「慎重に」と言うことぐらいは......。1つ1つの事例は、今、資料がないから言わなくてもいいけれども、「慎重に」ということぐらいは声明を出さない限り、我々の存在意義はないんですよ。

 勝村委員はそうしたら、これに何のために出てきているか分からないことになりますから......(支払側から、「いや」との声あり)、存在証明をするためには、やはりきちっとした......。(ここで遠藤会長が発言をさえぎる。支払側はこの発言で着火)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 (早口で)はい、嘉山委員、分かりました。時間も限られていることで......。(嘉山委員から)お名前が出ました、勝村委員どうぞ。(支払側はざわついている。白川、北村委員らが怒っている様子)

 ▼ 全然、火消しになっていない。支払側委員はこれまで、診療側の嘉山・安達両委員に一方的にやられていたので、ここで一気に巻き返して、これまでのうっぷんを晴らしたいところかもしれない。勝村委員にとっては「別の闘い」かもしれないが......。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 きちんとした議論をするならば、資料とか出してやっていく手続きをちゃんとしてほしいということで、ま、近々に急ぐということもあるのかもしれませんが、それだと、今日、具体的に、報道を通じてみんながイメージしているものと、実際にどういう文書があって、ということなので、やっぱちょっと、手続きを......。

 まだ......、頻繁に行われているわけですから、ちょっと今日、何にも資料がないところで何かを出すかということに対しては、報道では......という話でやるのはちょっと......、急ぐにしても、ちょっと手続きは踏んでほしいと思う。

 ▼ この時点ではまだ落ち着いた口調。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 分かりました。あの......、時間もありませんので(まだ2時間近く残っているが)、あの......、ご発言の趣旨、双方ともよく分かります。(ここで、予定通りまとめに入る)

 で、中医協の意思決定のプロセスはですね、基本的に「全会一致」なんであります。特に今回のように、中医協として外に向かって発言するということは、基本的には「全会一致」ということで決めてまいりました。

 ▼ 前回改定での再診料引き下げをめぐる議論は「全会一致」ではなく、土田武史会長(当時)の判断(公益裁定)で決着した。

 このルールはこれまで生きておりますので、ただ今のお話を聞いておりますと、マジョリティーは「(中医協として)意見を述べたほうがいいだろう」ということではありますけれども、反対意見もあるということですので、今の段階で、中医協として統一声明を出す、意見を述べるということは避けたほうがいいと思っております。

 ▼ 厚労省によると、中医協の議事を「全会一致」で決めるという法律上の根拠はなく、慣例はあるという。「社会保険医療協議会令」の2条2項には、「中央協議会及び地方協議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる」と規定されている。

 ただ、今後の議論でどう展開するか、発言する内容についても話し合ってですね、それで合意が得られれば、その段階で発言をしたいと思っております。よろしいでしょうか?

 ▼ 新体制になる前なら、これで打ち止めになったが......。

 嘉山委員、どうぞ。


 【目次】
 P2 → 「最終報告が出た段階で意見を承りたい」 ─ 遠藤会長
 P3 → 「決まる前に『慎重にやれ』と中医協から声明を」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P4 → 「伸びたから下げようという議論は乱暴」 ─ 安達委員(診療側)
 P5 → 「行政刷新会議はどういう法律の裏付けか」 ─ 白川委員(支払側)
 P6 → 「人民裁判でも見ているようで怖い感じ」 ─ 鈴木委員(診療側)
 P7 → 「中医協は冷静に動きを見守って結論を頂いて議論」 ─ 北村委員(支払側)
 P8 → 「中医協として何らかの意見を出していただきたい」 ─ 西澤委員(診療側)
 P9 → 「概算要求額と税収の乖離で何を考えるか」 ─ 森田委員(公益側)
 P10 → 「中医協として今の段階で意見を出すのは無理がある」 ─ 勝村委員(支払側)
 P11 → 個人の人格、意見を無視する」 ─ 白川委員(支払側)
 P12 → 中医協炎上 ─ 勝村委員 VS 嘉山委員
 P13 → 「激しく、時には優しく」 ─ 長妻厚労相

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス