村重直子の眼8 内田健夫・前日本医師会常任理事
内田
「予防接種に関しては、本当にそこを早くやるべきですね。副作用の確率は低いわけですけれども必ず出るわけですから、そこのところをきちんと担保するような」
村重
「副作用や有害事象が出てしまった時に、そういった人たちをきちんとみんなで支えるような無過失補償や免責を作ることが重要です。同時に、本当に副作用のデメリットは稀で、ワクチンで病気を防げるメリットの方が大きいことは、きちんとデータで示さないと、お子さんに接種する親御さんたちの納得を得るのは難しいと思います。数字を出していけば、どうしても副作用がゼロではないんだけれど、そのデメリットに比べればメリットの方がずっと大きいんだということは分かると思います」
内田
「私が一番思っているのは、これからは少子高齢化で、いかに子供たちを守り、お年寄りたちを大切にするという視点から考えると、疾病予防というのが、大変重要な課題になってくると思いますが、そんな中で今回のインフルエンザ対策というのは、ずうっと後追いに終始していて、その場しのぎの対策を打ち出していて、基本的にどうすれば、どれだけたくさんの国民にワクチンを打つことができてインフルエンザから守れるかという視点が決定的に欠けていましたよね。それが今の疾病予防対策すべてにも言えると思います。ワクチンの1類とか2類とか、どっちにも入らないとか細かなことを言うんではなくて、国費できちんと疾病予防に資するワクチンについてはどんどん導入すると、そして接種率を上げるために国費で全額負担かごく一部の軽度の自己負担に留めてできるだけたくさんの人に打ちましょうと、年齢制限だって忘れて期間を過ぎたら有料だなんて、そんなせこい考えはやめるべきですよ。新しい、国民に分かりやすく、納得できる政策、医療者も国民も安心できる政策を進めるべきです。それこそが少子化対策になると思います。元気に暮らしている人が病気になって倒れて後遺症を持ってという、日本脳炎なんかそういう話になりますから、そういうのをきちっと守って行くと言う視点を持つべきだと思うんですね。それに子ども手当の現物給付を当てれば、かなりの部分が解決するんですよ」
村重
「そうですね。ワクチンの分の金額なんて」
内田
「十分でしょう。それプラス疾病予防という視点から健診分にも財源を回せばかなり受診率も上がります。法定健診は、がん検診も含めて2年に1度にしてもいいと思うんですね。毎年受けたい人は自己負担で行くような制度にすれば、ものすごい効果があると思います。2年に1回でもし受診率が50%に行けば、2年で見れば100%になりますから。毎年受けるというのは、ハイリスクの人やどうしても心配な方にすればよいと思います。疾病予防の新しい考え方を政策的に取り入れる時期に来ているんじゃないでしょうか」