村重直子の眼8 内田健夫・前日本医師会常任理事
村重
「きちんとしたエビデンスがあって毎年やっているのかと言えば、疑わしいですからね。様々な医療問題の共通の根っこに、無過失補償・免責の不備とデータベースが公開されてない問題があると考えているので、色々なところでそういう話をしています。例えばレセプトデータベースと合わせて、検診を受けたか受けなかったかというデータベースをきちんと公開して、効果があったのか検証して行けばよいのです。もちろん個人情報は出さないように配慮しながらですが、検証して効果があるものはきちんと予算をつけて推進する。効果がなかったものはやめるか頻度を減らすというような取捨選択ができるはずなんです。海外では効果がないと言われているものを日本では延々とやっていたのもあります。問題は、日本のデータベースが誰でも解析できる形で公開されていないことです」
内田
「今回のインフルエンザでもそうだけれど、検証が全くできないというのは、本当にそうですよね。健診の話で言うと、私は特定健診を担当していたんですけれど、特定健診を保険者に持っていった結果、検診制度がバラバラになってがん検診の受診率も落ちたり、色々と問題が起きています。がん検診も含めて一括して保険者に全部持って行って、そうするとデータ管理もできるし、未受診者の把握も受診勧奨もできるし、保険者の一本化というのも将来的には睨んで取り組んでいくと非常にスムーズになると思います。特定健診を保険者に出すのは、メタボに特化した疾病予防ということで始めたわけですが、それは制度上の成熟してない問題がすごくいっぱいあったわけで、未だに中間評価がされてない。今年やっとそれを立ち上げるというのだけれど、途中でも正せるところは正すべきだということで、早く検討会を立ち上げるべきだとずっと言ってきました。そういう評価をして次はどうするかという仕組みを作るべきですね」
村重
「そうですね。データがきちんと開示されるようになれば、現場の先生方がそれぞれ独自の解析から独自のデータを出していくことができるので、全国1カ所の検討会を作らなくても、どんどん検証が進むようになります」
内田
「保険者でもできますし。がん検診も一緒にして特定健診も2年に1回くらいでいいんじゃないかと個人的には思うんですけど、毎年やらなくてもね。特に体重が変わってないとか、そういう人に毎年同じ検査をやることもないだろうと思います」
村重
「そのあたりもきちんとデータを出して、国民が納得できるようにするといいですね」